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アイ・エヌ情報センターお知らせ【2026年2月】業種別 有利子負債比率ランキング|全業種平均を「比較基準」とする個社評価と、3つの財務パターン

【2026年2月】業種別 有利子負債比率ランキング|全業種平均を「比較基準」とする個社評価と、3つの財務パターン

ダウンロードページに、「業種別 有利子負債比率ランキング」を掲載しました。

当社が保有する企業情報データベースeolより、上場企業(連結財務諸表ベース)の有利子負債、自己資本、総資産のデータを抽出し、業種別に有利子負債比率(対自己資本)、有利子負債依存度(対総資産)、自己資本比率を算出、ランキング表としてまとめたものです。
業種別 有利子負債比率ランキング

※ データについて
本記事で使用しているデータは当社独自の基準で算出しており、各企業が決算資料等で開示している値と異なる場合があります。
※ 算出について
本記事の対象は上場企業のうち、自己資本がマイナス(債務超過)の企業を除き、各データが取得できた連結決算企業のみを対象として、
各社ごとに算出した指標の平均値を使用、全業種平均は各社の指標を直接集計した値を算出しております。

 


財務戦略を評価する3つの「モノサシ」 ― 資本構成の定義

借入(有利子負債)の規模は、個々の経営方針だけで決まるものではありません。その背景には、ビジネスモデルや収益構造といった「事業の性質」という、各業界特有の共通ルールが存在しています。
本記事では、この見えにくい「業界ごとの標準的な姿」を明らかにするため、国内上場企業(連結決算ベース)を集計し、業種別に分析しました。
 
企業の資本構成を多角的に評価する際は、ひとつの指標だけで判断するのではなく、相互に関わり合う「以下の3つの指標」を組み合わせてバランスを把握することが不可欠です。業界全体の平均値を「モノサシ(基準)」としてこれらを読み解くことで、対象企業の数字が業界のスタンダードに沿ったものなのか、あるいは独自の戦略によるものなのかを、客観的に判断できるようになります。
 

 ●有利子負債比率 (自己資本に対する借入の倍率を示す指標)

    • 計算式: 有利子負債 ÷ 自己資本 × 100
    • 一般的な適正水準: 100~200%程度(業種により異なる)

 ●有利子負債依存度 (総資産のうち借入によって調達されている割合を示す指標)

    • 計算式: 有利子負債 ÷ 総資産 × 100
    • 一般的な適正水準: 30~50%程度

 ●自己資本比率 (総資産のうち自己資本で調達されている割合を示す指標)

    • 計算式: 自己資本 ÷ 総資産 × 100
    • 一般的な適正水準: 40%以上が望ましいとされる(業種により異なる)
 
これら3つの指標は、互いに密接に連動しています。
自分のお金(自己資本)が多ければ、全体に占める借入の割合(依存度)は自然と低くなります。また、同じ額の借入をしていても、自己資本をいくら持っているかで「借入の重み(比率)」の見え方は全く変わります。
これら3つをセットで見ることで、その業界がどのような戦略で動いているのか、財務の全体像がより詳細に見えてきます。
 

有利子負債比率ランキングTOP3業種 ― その他金融業が293.0%で首位

国内上場企業(連結決算ベース)の各指標から全業種平均を分析した結果、有利子負債比率が75.5%、有利子負債依存度が20.4%、自己資本比率が50.1%となりました。
 
ランキング上位に並んだ業界は「あえて借入を活用することで、自分たちのお金をより効率的に増やそうとする」という共通した特徴があります。 これは、「レバレッジ(てこの原理)」と呼ばれ、少ない手元資金に借入金を加えることで、より大きなビジネスを動かして収益を最大化させる戦略です。この戦略を積極的に取り入れている業界ほど、有利子負債比率という数字が目立って高くなる傾向にあります。

 

【第1位】その他金融業 (平均有利子負債比率 293.0%)

リースや信販を扱うこの業界は、総資産の約4割を借入でまかなっています(依存度39.6%)。自己資本(24.1%)の約3倍を借りている計算ですが、これは「借りたお金」を設備や融資に変えて利益を出す仕組みであり、借入そのものが事業の手段と言えます。代表例として、みずほリースやNECキャピタルソリューションなどが挙げられます。
 

【第2位】証券、商品先物取引業 (平均有利子負債比率 158.4%)

借入そのものの割合は平均的ですが(依存度22.1%)、効率を求めて自己資本(35.6%)をあえて少なめに保っているのが特徴です。市場の動きに合わせて機動的に資金を調達し、手元の資金を余らせずに効率よく稼ぐ運営スタイルと言えます。代表例として大和証券グループ本社などが挙げられます。
 

【第3位】不動産業 (平均有利子負債比率 151.7%)

ビルやマンションの取得に巨額の資金が必要なため、全業界で最も借入への依存度が高いのが特徴です(依存度44.0%)。一方で、資産そのものに高い価値があるため多額の借入が可能であり、自己資本(38.6%)以上に借入を活用してビジネスを動かす戦略をとっています。代表例として日本エスコン、トラストホールディングスなどが挙げられます。
 
上位の業界には、借入を「成長の原動力」にする共通の戦略があります。安定した収益や担保となる資産があるからこそ、積極的に借入を活用することがビジネス上の合理的な選択となっているのです。
 

ビジネスモデルで決まる「3つの財務パターン」

各業種の平均データを詳細に分析すると、財務戦略の型は大きく3つのパターンに分類することができます。
 

① 積極借入型(高レバレッジ型)
  <有利子負債比率150%超、依存度20~45%前後の業種>

TOP3のその他金融、証券、不動産業が該当します。自己資本以上の借入をしてビジネス規模を大きくする戦略となり、「借入そのものが多い不動産」と「効率重視で自己資本を絞る証券」という違いはありますが、いずれも外部資本が収益拡大の鍵です。このグループは、有利子負債比率の一般的な適正水準(100%以下)を大きく上回る「150%超」が標準である点が特徴です。
 

② バランス型
  <有利子負債比率100~150%、自己資本比率40%前後の業種>

電気・ガス、建設、小売業などがこのタイプです。発電所や店舗などの「大きな設備」を借入で作りつつ、自己資本もしっかり確保して守りを固める戦略です。例えば電気・ガス業は、借入は多めですが収益が安定しているため、高い健全性を維持できています。投資と守りのバランスを最適に保っている、最も標準的な形と言えます。
 

③ 安全重視型(自己資本重視型)
  <有利子負債比率35%以下、自己資本比率60%前後の業種>

鉱業、鉄鋼、ゴム製品業などが該当します。借入に頼らず、手厚い自己資本をメインに運営する戦略です。これらの業界は、巨大な設備が必要な一方で、景気によって利益が変動しやすいため、あえて借入を最小限に抑えています。どんなに外部環境が厳しくなっても事業を継続できる「体力」を蓄えているのが特徴です。
 

金利上昇の影響 ― 業種ごとの「耐性」を読み解く

金利が上昇する局面では、業界ごとの「借入への依存度」によって、受ける影響がはっきりと分かれます。
不動産や金融、電気・ガスといった「借入への依存度が高い業界(依存度35〜45%前後)」は、金利が上がると利息の負担が増え、利益が削られやすくなる性質を持っています。ただし、こうした業界は「長期の固定金利」で借りていることも多く、すぐに影響が出るとは限りません
 
一方で、借入が極めて少ない鉱業や鉄鋼などの「自己資本重視型」の業界は、金利が上がっても支払う利息がほとんど増えないため、経済の変化に強い耐性を持っています。このように各業界の標準を知っておくことは、経済ニュースが自社や投資先にどのような影響を及ぼすかを予測するための、強力な武器となります。
 

業種平均を知ることで見えてくる「企業の本当の姿」

借入の適正額は、事業の種類によって全く異なります。そのため、各業界の特性を知らずに、一律の基準で会社の良し悪しを判断することはできません。
例えば不動産業において、もし「借入ゼロ」にこだわれば、新しい物件を買うチャンスを逃し、ライバルに追い抜かれてしまいます。この業界では、借入を活用して大きなビジネスを動かすことこそが正しい戦略なのです。
つまり、「業界平均」は、その事業を無理なく続けるための「標準的なモノサシ」となります。このモノサシを基準にすることで、初めてその会社の数字が「業界特有の仕組み」によるものなのか、それとも「独自の攻めた戦略」によるものなのかを、正しく見分けられるようになります。
 

企業情報データベースeolで実現する効率的な企業分析

本記事の分析に使用した有利子負債比率データの一部を当社ウェブサイトからダウンロードいただけます。このデータには、「全業種の平均比率や上位業種内のTOP30社」が含まれており、企業分析や業界動向の把握にお役立ていただけます。

「有利子負債比率が高い業界」という事実だけでは、その企業の健全性を測ることは困難です。有利子負債に関連する指標を分析する際、それが「業界標準(平均)」に沿ったものか、それとも「平均から乖離した独自戦略」なのかを把握することが、企業分析の出発点になると考えられます。
 
当社が提供する企業情報データベースeolでは、本記事で使用した指標以外にも、複数の財務指標を組み合わせた業種別比較(マクロ視点)や長期間にわたる同業他社比較(ミクロ視点)を行うことが可能です。
企業の財務戦略を適切に評価するには、業種特性を理解した上での多角的なデータ分析が不可欠です。「全業種の平均データ」から「特定企業の長期的な戦略」を比較することで、数値の背後にある企業の真の財務戦略を読み解くことが可能になると考えられます。
 
本記事以外のデータが必要な場合や、ご興味がございましたら、お問い合わせフォームより、お気軽にお問い合わせください。
 

※ 投資判断に関する注意事項
本記事は、企業情報データベースeolに収録されているデータに基づく情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券等の取引を推奨し、または勧誘するものではありません。投資判断は、必ずご自身の責任において行っていただくようお願いいたします。また、本記事に記載されている情報は、その正確性、完全性を保証するものではなく、投資の結果について当社は一切の責任を負いません。

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