2026.5.26
【2026年5月】売上高ランキング・当期純利益ランキング比較|営業CFで見る成長企業の特徴
当社が保有する企業情報データベースeolより、2026年3月期決算の上場企業を対象に、決算短信に記載された連結実績における売上高、親会社株主に帰属する当期純利益、営業キャッシュ・フローを抽出し、ランキング表としてまとめたものです。
売上高は企業の事業規模を示す代表的な指標です。一方、当期純利益は、売上から各種費用、税金、営業外損益、特別損益などを反映した最終的な利益を示します。さらに、営業キャッシュ・フロー(以下、営業CF)を確認することで、利益が営業活動による現金創出を伴っているかを補足的に見ることができます。
本記事では、売上高が大きい企業群と、当期純利益が大きい企業群を比較し、どちらに成長企業としての特徴がより表れているかを、売上高成長率、当期純利益成長率、営業CFの観点から考察します。
なお、本記事では、以下の3点を満たす企業を「成長企業としての特徴が相対的に強い企業」として整理します。
1.売上高成長率がプラス
2.当期純利益成長率がプラス
3.営業CFがプラス
売上高トップはトヨタ自動車50兆6,850億円、
営業CFは9社がプラス
売上高ランキングでは、トヨタ自動車㈱が50兆6,850億円で首位となりました。2位は本田技研工業㈱の21兆7,966億円、3位は三菱商事㈱の18兆9,160億円です。
売上高トップ10には、輸送用機器が3社、卸売業が3社含まれており、グローバルな販売網や大規模な取引基盤を持つ企業が上位に並ぶ結果となりました。
| 順位 | 企業名 | 業種 | 売上高 | 親会社株主に帰属 する当期純利益 |
営業CF | 売上高 成長率 |
当期純利益 成長率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | トヨタ自動車㈱ | 輸送用機器 | 50兆6,850億円 | 3兆8,481億円 | 5兆4,729億円 | 5.51% | ▲19.25% |
| 2 | 本田技研工業㈱ | 輸送用機器 | 21兆7,966億円 | ▲4,239億円 | 1兆1,353億円 | 0.49% | — |
| 3 | 三菱商事㈱ | 卸売業 | 18兆9,160億円 | 8,005億円 | 1兆4,900億円 | 1.60% | ▲15.81% |
| 4 | 伊藤忠商事㈱ | 卸売業 | 14兆8,231億円 | 9,003億円 | 1兆1,318億円 | 0.67% | 2.27% |
| 5 | ㈱三菱UFJフィナン シャル・グループ |
銀行業 | 14兆6,208億円 | 2兆4,272億円 | ▲23兆644億円 | 7.27% | 30.29% |
| 6 | NTT㈱ | 情報・通信業 | 14兆4,091億円 | 1兆370億円 | 1兆4,852億円 | 5.14% | 3.70% |
| 7 | 三井物産㈱ | 卸売業 | 13兆9,952億円 | 8,340億円 | 9,529億円 | ▲4.56% | ▲7.38% |
| 8 | ソニーグループ㈱ | 電気機器 | 12兆4,796億円 | 1兆309億円 | 1兆9,456億円 | 3.69% | ▲3.42% |
| 9 | 日産自動車㈱ | 輸送用機器 | 12兆79億円 | ▲5,331億円 | 7,947億円 | ▲4.95% | — |
| 10 | ENEOSホール ディングス㈱ |
石油・石炭製品 | 11兆7,655億円 | 2,587億円 | 6,200億円 | ▲4.73% | 14.44% |
※金額は百万円単位の元データを億円単位に換算し、四捨五入しています。
※「▲」はマイナスを示します。
売上高トップ10の売上高合計は、約185兆4,988億円です。売上高成長率がプラスとなった企業は10社中7社、当期純利益成長率がプラスとなった企業は、算出可能な8社中4社となりました。
営業CFを見ると、10社中9社がプラスです。特にトヨタ自動車㈱は5兆4,729億円、ソニーグループ㈱は1兆9,456億円、NTT㈱は1兆4,852億円の営業CFを計上しており、大規模な売上高に加えて、営業活動からの現金創出も確認できます。
一方、㈱三菱UFJフィナンシャル・グループの営業CFは▲23兆644億円となっています。銀行業の営業CFは、貸出金、預金、有価証券取引など、銀行業特有の資金移動の影響を受けやすいため、製造業や卸売業などの一般事業会社と単純比較する際には留意が必要です。
銀行業である同社を除いた売上高トップ9社の営業CF合計は、約15兆284億円となります。この点から、売上高トップ企業群は、事業規模の大きさに加え、多くの企業で営業活動による現金創出が確認できる企業群と考えられます。
当期純利益トップはソフトバンクグループ5兆23億円、
銀行業3社・情報通信業2社が上位に
当期純利益ランキングでは、ソフトバンクグループ㈱が5兆23億円で首位となりました。2位はトヨタ自動車㈱の3兆8,481億円、3位は㈱三菱UFJフィナンシャル・グループの2兆4,272億円です。
当期純利益トップ10には、銀行業が3社、情報・通信業が2社、卸売業が2社含まれており、売上高ランキングとは異なる業種構成となりました。売上高ランキングでは輸送用機器や卸売業など、取扱高や販売規模が大きくなりやすい業種が目立つ一方、当期純利益ランキングでは、金融・通信・電機・総合商社など、利益額の大きい企業群が上位に並んでいます。
| 順位 | 企業名 | 業種 | 売上高 | 親会社株主に帰属 する当期純利益 |
営業CF | 売上高 成長率 |
当期純利益 成長率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ソフトバンク グループ㈱ |
情報・通信業 | 7兆7,987億円 | 5兆23億円 | ▲4,288億円 | 7.12% | 333.72% |
| 2 | トヨタ自動車㈱ | 輸送用機器 | 50兆6,850億円 | 3兆8,481億円 | 5兆4,729億円 | 5.51% | ▲19.25% |
| 3 | ㈱三菱UFJフィナン シャル・グループ |
銀行業 | 14兆6,208億円 | 2兆4,272億円 | ▲23兆644億円 | 7.27% | 30.29% |
| 4 | ㈱三井住友フィナン シャルグループ |
銀行業 | 10兆7,909億円 | 1兆5,830億円 | ▲10兆2,831億円 | 6.05% | 34.37% |
| 5 | ㈱みずほフィナン シャルグループ |
銀行業 | 9兆854億円 | 1兆2,486億円 | ▲4兆8,385億円 | 0.61% | 41.01% |
| 6 | NTT㈱ | 情報・通信業 | 14兆4,091億円 | 1兆370億円 | 1兆4,852億円 | 5.14% | 3.70% |
| 7 | ソニーグループ㈱ | 電気機器 | 12兆4,796億円 | 1兆309億円 | 1兆9,456億円 | 3.69% | ▲3.42% |
| 8 | 東京海上 ホールディングス㈱ |
保険業 | 8兆8,723億円 | 9,804億円 | 5,843億円 | 3.96% | ▲7.10% |
| 9 | 伊藤忠商事㈱ | 卸売業 | 14兆8,231億円 | 9,003億円 | 1兆1,318億円 | 0.67% | 2.27% |
| 10 | 三井物産㈱ | 卸売業 | 13兆9,952億円 | 8,340億円 | 9,529億円 | ▲4.56% | ▲7.38% |
※金額は百万円単位の元データを億円単位に換算し、四捨五入しています。
※「▲」はマイナスを示します。
当期純利益トップ10の当期純利益合計は、約18兆8,918億円となりました。売上高トップ10の当期純利益合計である約10兆1,797億円と比較すると、利益額の面では当期純利益トップ10が大きく上回っています。
また、当期純利益トップ10では、売上高成長率がプラスとなった企業が9社、当期純利益成長率がプラスとなった企業が6社、売上高と当期純利益の双方がプラス成長となった企業が6社となりました。利益額の大きさに加えて、売上・利益の成長を同時に確認できる企業が一定数含まれている点が特徴です。
営業CFを見ると、当期純利益トップ10では10社中6社がプラスとなりました。一方、ソフトバンクグループ㈱および銀行業3社は営業CFがマイナスとなっています。特に銀行業の営業CFは、貸出金、預金、有価証券取引など金融業特有の資金移動の影響を受けやすいため、一般事業会社と単純比較する際には留意が必要です。
成長企業比較では、当期純利益トップ10が売上・利益成長で
特徴、営業CFでは売上高トップ10に安定感
売上高トップ10と当期純利益トップ10を企業群として比較すると、それぞれ異なる特徴が見られます。
| 比較項目 | 売上高トップ10 | 当期純利益トップ10 |
|---|---|---|
| 売上高合計 | 約185兆4,988億円 | 約157兆5,601億円 |
| 当期純利益合計 | 約10兆1,797億円 | 約18兆8,918億円 |
| 営業CF合計 | 約▲8兆360億円 | 約▲27兆422億円 |
| 営業CF合計(銀行業除く) | 約15兆284億円 | 約11兆1,439億円 |
| 平均売上高成長率 | 1.0% | 3.5% |
| 売上高成長率がプラスの企業数 | 7社 | 9社 |
| 当期純利益成長率がプラスの企業数 | 4社(算出可能8社中) | 6社 |
| 売上高・当期純利益ともに成長した企業数 | 3社 | 6社 |
| 売上高成長率・当期純利益成長率・営業CFがすべてプラスの企業数 | 2社 | 2社 |
売上高トップ10は、売上高合計が約185兆4,988億円と非常に大きく、事業規模の大きさが特徴として表れています。また、銀行業である㈱三菱UFJフィナンシャル・グループを除く9社すべてで営業CFがプラスとなっており、多くの企業で営業活動による現金創出が確認できます。
一方、当期純利益トップ10は、当期純利益合計が約18兆8,918億円となり、売上高トップ10を大きく上回っています。さらに、売上高成長率がプラスの企業が9社、当期純利益成長率がプラスの企業が6社となっており、売上・利益成長の観点では、当期純利益トップ10の方が成長企業群としての特徴を相対的に強く示していると推察されます。
ただし、営業CF合計では、当期純利益トップ10は約▲27兆422億円となりました。これは、当期純利益トップ10に銀行業3社が含まれており、金融業特有の資金移動が営業CFに大きく影響しているためと考えられます。銀行業3社を除いた営業CF合計では約11兆1,439億円となり、一般事業会社を中心に見ると営業活動による現金創出も確認できます。
当期純利益トップ10は売上・利益成長で特徴、
営業CFでは売上高トップ10の現金創出も確認
売上高ランキングと当期純利益ランキングを比較すると、売上高トップ10は「事業規模の大きさ」、当期純利益トップ10は「最終的な利益額の大きさ」が特徴として見られます。さらに営業キャッシュ・フロー、(以下営業CF)を加えることで、売上や利益が営業活動による現金創出を伴っているかを補足的に確認できます。
営業CFを見ると、売上高トップ10では10社中9社、当期純利益トップ10では10社中6社がプラスとなりました。当期純利益トップ10では、ソフトバンクグループ㈱のように当期純利益が大きい一方で営業CFがマイナスとなる企業もあり、当期純利益と営業CFの動きが必ずしも一致しないことが確認できます。また、銀行業の営業CFは、貸出金、預金、有価証券取引など金融業特有の資金移動の影響を受けやすいため、一般事業会社とは分けて確認することが望ましいと考えられます。
今回のデータでは、売上高トップ10は「規模」と「現金創出」、当期純利益トップ10は「利益額」と「売上・利益成長」という特徴が見られました。なお、売上高成長率・当期純利益成長率・営業CFのすべてがプラスとなった企業は、両ランキングとも2社であり、NTT㈱と伊藤忠商事㈱が該当します。
企業の成長性を確認する際には、売上高や当期純利益の絶対額だけでなく、売上高成長率、当期純利益成長率、営業CFを組み合わせて見ることが有用です。売上高は「規模」、当期純利益は「最終的な利益額」、営業CFは「営業活動による現金創出」を示すため、3つの指標を組み合わせることで、企業の特徴をより立体的に把握できます。
企業情報データベースeolで実現する効率的な企業分析
本記事の分析に使用した売上高、当期純利益ランキングの一部を下記よりダウンロードいただけます。
当社が提供する企業情報データベースeolでは、財務諸表の数値データを取得するだけでなく、提出された複数企業の財務データに加え、業種、上場市場、非財務情報などを横断的に取得できます。上場企業の成長性、収益構造、現金創出力を比較する際の基礎データとしてご活用いただけます。
本記事以外のデータが必要な場合や、ご興味がございましたら、お問い合わせフォームより、お気軽にお問い合わせください。
※本記事は、企業情報データベース「eol」より抽出した連結実績データを基に作成しています。
※売上高は「連結実績-売上高」、当期純利益は「連結実績-親会社株主に帰属する当期純利益」を使用しています。
※営業CFは「営業キャッシュ・フロー」を使用しています。
※金額は百万円単位の元データを億円単位に換算し、億円未満を四捨五入しています。
※「–」は、前期が赤字である場合など、成長率の比較に適さないデータを示しています。
※銀行業など金融業の営業CFは、一般事業会社と性質が異なるため、単純比較には留意が必要です。
投資判断に関する注意事項
※本記事は、企業情報データベースeolに収録されているデータに基づく情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券等の取引を推奨し、または勧誘するものではありません。投資判断は、必ずご自身の責任において行っていただくようお願いいたします。また、本記事に記載されている情報は、その正確性、完全性を保証するものではなく、投資の結果について当社は一切の責任を負いません。