Insight - Ranking
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当社が提供している豊富なデータベースをもとに、様々な切り口でランキングを作成・公開しています。 企業研究や業界動向の把握、同業他社比較など、ビジネスのヒントとしてお役立てください。
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NEW 2026.7.10 DL資料【2026年7月】ナフサリスク記載が48.1%増加!売上原価率ランキング|今後の時系列分析への活用に
当社では、2026年6月にマクロ経済の視点からナフサを含めた国内企業物価指数の経済統計記事を公開し、市場全体における原材料価格の高騰トレンドを分析しました。今回は、そのマクロな市場動向が個別企業の経営やディスクロージャーにどのような変化をもたらしているかという「別の切り口(ミクロ視点)」から、新たな調査を実施しました。 具体的には、当社が保有する企業情報データベースeolのキーワード検索機能を活用し、2026年3月期に提出された上場企業の有価証券報告書を対象に、「事業等のリスク」項目にて原材料であるナフサの価格変動に言及している企業を抽出し一覧化いたしました。 有価証券報告書の「事業等のリスク」における「ナフサ」の記載は、原材料価格の動向が事業継続性に与える影響を企業がどれだけ重く受け止めているか、その危機意識や感応度の高さを示すものです。本レポートでは、世界的なエネルギー価格の不安定化という外部リスクに直面する中で、警戒を強めている業界・企業があるのかを検証します。 さらに、ナフサ価格変動の影響を測る「基準値(ベースライン)」として、2026年3月期時点の売上原価率を確認します。本格的な価格変動が反映される前の数値を現時点で把握しておくことで、今後の時系列分析における活用の幅を考察いたします。 有価証券報告書(2026年3月期)のリスク情報に「ナフサ」を記載する企業が48.1%増加、製造業を中心に広がる価格変動への警戒感 化学製品の基礎原料であるナフサの価格変動は、製造業の収益性に直接影響を与えます。 2026年3月期の有価証券報告書を分析したところ、リスク情報に「ナフサ」を記載する企業は前年の54社から80社へと48.1%増加しました。前年から継続記載している10業種を中心に、開示企業数がさらに増加し20業種と倍増しています。 特にエネルギー価格の影響を受けやすい業種では、調達コストの安定化が喫緊の課題となっていると考えられます。各社の開示からは、製品価格への転嫁遅れに対する懸念や安定調達への戦略的な動きが読み取れます。このように記載企業数が大幅に増加した背景には、原材料価格の変動に対する感応度や価格転嫁の体制を、投資家へより透明性を持って伝えようとする各社の姿勢が反映されていると推察されます。 【業種別データ】有価証券報告書における「ナフサ」言及状況の業種一覧 2026年3月期決算の有価証券報告書でリスク情報に「ナフサ」記載がある上場企業を業種別に抽出し、前年度(2025年度)からの推移をまとめた全リストは以下の通りです。 業種名 25年記載社数 26年記載社数 化学 40社 46社 卸売業 1社 5社 石油・石炭製品 4社 4社 精密機器 2社 3社 機械 1社 3社 非鉄金属 1社 2社 サービス業 0社 2社 その他製品 1社 1社 パルプ・紙 1社 1社 繊維製品 1社 1社 陸運業 1社 1社 ガラス・土石製品 0社 1社 医薬品 0社 1社 小売業 0社 1社 情報・通信業 0社 1社 食料品 0社 1社 鉄鋼 0社 1社 電気機器 0社 1社 不動産業 0社 1社 輸送用機器 0社 1社 その他(非公開企業) 1社 2社 総計 54社 80社 これらの業種は、一見するとナフサの直接的な消費や調達との関連性が相対的に低いように見える業界も含んでいます。しかし、2026年3月期において新たに開示がなされた背景には、マクロ経済における石油化学製品や燃料価格の高騰が、サプライチェーンやパッケージ原材料、物流コスト、あるいは電気料金といった「間接的なコスト上昇」を通じて、自社の事業収益に影響を及ぼし始めている現状が垣間見えます。 従来は経営リスクとして明記していなかった業種に属する企業であっても、外部環境の急速な変化を重く受け止め、株主や投資家への透明性を高める目的から開示を拡充する動きが進んでいると考えられます。これらの業種に属する企業では、今後はマージン確保のための柔軟な価格転嫁や、コストコントロールといったリスクヘッジ策がより重要視されると考えられます。 2026年3月期データに基づくトップ業種の原価構造検証と、今後の時系列分析への活用 上記の一覧のようにリスク開示を行う裾野が広がる一方で、依然として言及企業数が圧倒的多数(46社)を占める「化学」業種内において、特に連結売上原価率が高い上位10社を抽出し、その構造を検証しました。売上原価率は製造業における原材料比率を示す重要な指標であり、ナフサ価格変動の影響度を測る指標として活用できます。 売上原価率が高い上位10社(化学・2026年3月期連結決算企業) 順位 社名 連結売上原価率 1 共和レザー㈱ 83.51 2 新日本理化㈱ 83.41 3 東京インキ㈱ 83.35 4 田岡化学工業㈱ 82.61 5 森六㈱ 81.93 6 ㈱日本触媒 80.73 7 リケンテクノス㈱ 80.50 8 UBE㈱ 77.62 9 ウェーブロックホールディングス㈱ 77.12 10 三井化学㈱ 76.81 ※上記ランキングは、事業リスクに「ナフサ」と記載されている化学業種46社のうち、2026年7月6日時点でeolデータベースに収録されている連結売上原価率より作成しております。 なお、今回用いた売上原価率は、2026年3月期有価証券報告書に基づいたデータです。現時点では、最新のナフサ価格変動の影響が損益計算書上の原価に本格的に反映される前段階である可能性も考えられます。そのため、今回のデータは現時点の収益構造を確認するだけでなく、今後提出される四半期決算短信や次期の有価証券報告書など、継続的な時系列分析における「ベースライン(基準値)」として活用いただくことが有益であると考えられます。 2026年3月期の決算データを通じて各社のスタートラインの原価構造を把握し、今後の時系列変化を追跡することで、企業の「価格交渉力」や「外部環境への適応力」をより精緻に評価できる可能性があると考えられます。 データについて ※本記事は、2026年7月6日時点の企業情報データベース「eol」より抽出した連結実績データを基に作成しています。 ※本記事で使用しているデータは当社独自の基準で算出しているため、各社の公表データと異なる場合があります。 投資判断に関する注意事項 ※本記事は、企業情報データベースeolに収録されているデータに基づく情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券等の取引を推奨し、または勧誘するものではありません。投資判断は、必ずご自身の責任において行っていただくようお願いいたします。また、本記事に記載されている情報は、その正確性、完全性を保証するものではなく、投資の結果について当社は一切の責任を負いません。
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2026.6.17 DL資料【2026年6月】12月決算上場企業の業種別営業利益率ランキング|労働生産性で見る付加価値創出力
当社が保有する企業情報データベースeolおよび人的資本パッケージより、2025年12月期決算の連結財務データを取得できる企業を抽出し、業種別の売上高営業利益率と労働生産性をまとめました。 本記事では、まず業種別の売上高営業利益率ランキングを確認し、そのうえで補足指標として労働生産性を用いて、営業利益率と付加価値創出力の関係を考察します。 売上高営業利益率は、売上高に対して営業利益がどの程度残っているかを示す指標です。一方、労働生産性は、従業員1人当たりでどれだけの付加価値を生み出しているかを確認するための指標です。 無駄なく効率的に働き(労働生産性の向上)、高い付加価値を生み出すことで、最終的に会社に残る儲けの割合(営業利益率)が高い業界、企業があるのか考察します。 業種別営業利益率ランキング|鉱業49.11%、証券・商品先物取引業42.63%で上位 まず、12月決算の上場企業(連結企業)を対象に、業種別の平均売上高営業利益率を確認しました。 業種平均で見ると、売上高営業利益率が最も大きい業種は、鉱業の49.11%でした。次いで、証券、商品先物取引業が42.63%、医薬品が24.07%、不動産業が19.67%、精密機器が13.77%となっています。 業種別 平均売上高営業利益率ランキング 上位10業種 順位 業種 平均売上高[百万円] 平均営業利益[百万円] 平均売上高営業利益率[%] 平均労働生産性[円] 1 鉱業 1,093,403 536,968 49.11 168,247,179 2 証券、商品先物取引業 27,283 11,631 42.63 64,347,017 3 医薬品 258,123 62,118 24.07 ▲31,609,711 4 不動産業 93,394 18,368 19.67 37,343,873 5 精密機器 88,316 12,160 13.77 6,126,900 6 情報・通信業 40,278 4,877 12.11 3,057,833 7 その他製品 130,919 15,137 11.56 2,933,432 8 食料品 644,813 71,045 11.02 6,105,191 9 電気機器 263,124 28,260 10.74 1,129,631 10 ゴム製品 1,514,027 144,626 9.55 4,805,662 ※平均値は各企業の売上高営業利益率および労働生産性を算出したうえで、業種ごとに集計しています。 鉱業は、平均売上高が1,093,403百万円、平均営業利益が536,968百万円、平均売上高営業利益率が49.11%となりました。今回の対象業種の中では、売上高に対して営業利益が大きく残る業種として表れています。 証券、商品先物取引業は、平均売上高が27,283百万円、平均営業利益が11,631百万円、平均売上高営業利益率が42.63%となりました。売上規模は鉱業と比べて小さいものの、売上高に対する営業利益の割合は高い水準です。 また、医薬品は営業利益率が24.07%で3位となりました。一方で、平均労働生産性は▲31,609,711円となっており、営業利益率と労働生産性が同じ方向に表れていない点が特徴的です。このような違いを確認するため、次章では補足指標として労働生産性を見ていきます。 労働生産性分析|鉱業が1億6,824万円でトップ 営業利益率は、売上高に対する営業利益の割合を示す指標です。収益性を見るうえで分かりやすい一方、企業がどの程度の人員規模で付加価値を生み出しているかまでは把握しにくい面があります。 そこで、補足指標として労働生産性を確認します。 業種別 平均労働生産性ランキング 上位10業種 順位 業種 平均売上高[百万円] 平均営業利益[百万円] 平均売上高営業利益率[%] 平均労働生産性[円] 1 鉱業 1,093,403 536,968 49.11 168,247,179 2 証券、商品先物取引業 27,283 11,631 42.63 64,347,017 3 不動産業 93,394 18,368 19.67 37,343,873 4 小売業 112,207 9,805 8.74 9,140,858 5 輸送用機器 763,534 42,434 5.56 7,492,487 6 化学 385,612 31,933 8.28 7,380,583 7 繊維製品 31,998 2,482 7.76 6,933,320 8 電気・ガス業 159,436 8,956 5.62 6,538,667 9 精密機器 88,316 12,160 13.77 6,126,900 10 食料品 644,813 71,045 11.02 6,105,191 ※平均値は各企業の売上高営業利益率および労働生産性を算出したうえで、業種ごとに集計しています。 労働生産性ランキングでも、鉱業と証券、商品先物取引業が上位となりました。特に鉱業は、営業利益率ランキングと労働生産性ランキングの双方で1位となっており、売上高に対する利益の残りやすさと、従業員1人当たりの付加価値創出力の両面で高い水準にあります。 一方で、営業利益率ランキング3位の医薬品は、労働生産性ランキングでは上位に入りませんでした。営業利益率は売上高に対する営業利益の割合であるのに対し、労働生産性は粗付加価値を従業員数の2期平均で割って算出します。そのため、営業利益率が高い業種であっても、粗付加価値や従業員数の構成によって、労働生産性の水準は異なることが考えられます。 営業利益率ランキングと労働生産性ランキングの比較|上位業種は一部共通するが順位は一致しない 営業利益率ランキングと労働生産性ランキングを比較すると、上位業種には一部共通する業種が見られる一方で、順位が大きく異なる業種もあります。 営業利益率ランキング上位業種と労働生産性の比較 業種 営業利益率順位 平均売上高営業利益率[%] 労働生産性順位 平均労働生産性[円] 鉱業 1 49.11 1 168,247,179 証券、商品先物取引業 2 42.63 2 64,347,017 医薬品 3 24.07 27 ▲31,609,711 不動産業 4 19.67 3 37,343,873 精密機器 5 13.77 9 6,126,900 情報・通信業 6 12.11 19 3,057,833 その他製品 7 11.56 20 2,933,432 食料品 8 11.02 10 6,105,191 電気機器 9 10.74 25 1,129,631 ゴム製品 10 9.55 11 4,805,662 鉱業と証券、商品先物取引業は、営業利益率・労働生産性のいずれも上位となりました。売上高に対して利益を残しやすく、かつ従業員1人当たりの付加価値創出力も高い業種として表れています。 一方、医薬品は営業利益率では3位ですが、労働生産性では27位となりました。また、電気機器は営業利益率では9位ですが、労働生産性では25位となっています。 このように、営業利益率が高い業種であっても、労働生産性が同じように上位になるとは限りません。営業利益率は「売上高に対する利益の残りやすさ」を示し、労働生産性は「従業員1人当たりの付加価値創出力」を示します。 そのため、営業利益率を見る際には、補足指標として労働生産性をあわせて確認することで、業種ごとの収益性と付加価値創出力をより多面的に把握できると考えられます。 労働生産性トップの㈱INPEXは鉱業平均の約1.9倍 次に、個別企業の事例として、今回の集計で労働生産性が最も大きかった㈱INPEXを確認します。 ㈱INPEXは、東証業種分類では鉱業に属しています。同社の数値を鉱業平均と比較すると、以下の通りです。 項目 鉱業平均 ㈱INPEX 比較 売上高[百万円] 1,093,403 2,095,451 約1.9倍 営業利益[百万円] 536,968 1,063,342 約2.0倍 売上高営業利益率[%] 49.11 50.74 +1.63ポイント 労働生産性[円] 168,247,179 317,197,459 約1.9倍 ㈱INPEXの労働生産性は317,197,459円で、鉱業平均の168,247,179円に対して約1.9倍の水準となりました。また、売上高営業利益率も50.74%と、鉱業平均の49.11%を1.63ポイント上回っています。 この結果から、㈱INPEXは所属業種である鉱業の中でも、売上規模、営業利益規模、営業利益率、労働生産性のいずれも大きい水準にあることが確認できます。 鉱業は、資源開発や生産設備、権益、国際的な資源価格などの影響を受けやすい業種と考えられます。㈱INPEXについては、売上高・営業利益ともに鉱業平均を大きく上回っており、粗付加価値を従業員数の2期平均で割った労働生産性も高い水準に表れています。 このように、㈱INPEXの事例では、営業利益率の高さと労働生産性の高さが同じ方向に表れており、売上に対する利益の残りやすさと、従業員1人当たりの付加価値創出力の双方が大きい水準にあると推察されます。 ㈱メタプラネットは営業利益率70.60%でも労働生産性はマイナス値 次に、今回の集計で労働生産性が最も小さい値となった㈱メタプラネットを確認します。 ㈱メタプラネットは、東証業種分類では卸売業に属しています。同社の数値を卸売業平均と比較すると、以下の通りです。 項目 卸売業平均 ㈱メタプラネット 比較 売上高[百万円] 132,803 8,905 卸売業平均の約6.7% 営業利益[百万円] 7,111 6,287 卸売業平均の約88.4% 売上高営業利益率[%] 5.35 70.60 +65.25ポイント 労働生産性[円] ▲185,484,645 ▲3,639,961,539 マイナス方向に大きい値 ㈱メタプラネットは、売上高が8,905百万円で、卸売業平均の132,803百万円に対して約6.7%の水準です。一方、営業利益は6,287百万円で、卸売業平均の7,111百万円に近い水準となっています。 そのため、売上高営業利益率は70.60%と、卸売業平均の5.35%を大きく上回る結果となりました。 一方、労働生産性は▲3,639,961,539円となり、卸売業平均の▲185,484,645円と比較しても、マイナス方向に大きい値となっています。 この結果は、営業利益率が高い企業であっても、労働生産性が同じ方向に表れるとは限らないことを示す事例といえます。 特に、㈱メタプラネットのように、営業利益率が非常に大きい一方で労働生産性がマイナスとなっている企業では、営業利益だけでなく、粗付加価値の構成や従業員数との関係を確認する必要があります。 この事例からも、営業利益率のみでは、粗付加価値ベースの付加価値創出力を十分に説明できない可能性があると考えられます。 総論|営業利益率と労働生産性を組み合わせることで、収益性と付加価値創出力を多面的に把握 本記事では、12月決算の上場企業(連結企業)を対象に、業種別営業利益率ランキングを確認したうえで、補足指標として労働生産性を用いた分析を行いました。 業種平均で見ると、売上高営業利益率は鉱業が49.11%で最も大きく、次いで証券、商品先物取引業が42.63%、医薬品が24.07%となりました。 一方、労働生産性では、鉱業が168,247,179円で最も大きく、次いで証券、商品先物取引業が64,347,017円、不動産業が37,343,873円となりました。 鉱業と証券、商品先物取引業は、営業利益率と労働生産性の双方で上位に位置しており、収益性と付加価値創出力の両面で高い水準が確認できます。一方、医薬品や電気機器のように、営業利益率では上位に入っていても、労働生産性では順位が異なる業種も見られました。 営業利益率は「売上高に対する利益の残りやすさ」、労働生産性は「従業員1人当たりの付加価値創出力」を示します。個別企業分析で示したように両者を組み合わせて確認することで、企業や業種の収益性と生産性をより多面的に把握できると考えられます。 企業情報データベースeolで実現する効率的な企業分析 本記事の分析に使用した営業利益率ランキングの一部を下記よりダウンロードいただけます。 当社が提供する企業情報データベースeolでは財務諸表の数値データを取得するだけでなく、提出された複数企業の開示書類を効率的に閲覧する機能などを用意しています。企業の戦略を適切に分析するには、定性情報からの分析も不可欠と考えられます。 また、人的資本パッケージでは、有価証券報告書の企業情報(数値データ等)、人的資本に関するデータと「しょくばらぼ」のデータを一覧化しており、調査や分析に活用していただくことが可能です。 本記事以外のデータが必要な場合や、ご興味がございましたら、お問い合わせフォームより、お気軽にお問い合わせください。 データについて ※本記事は、企業情報データベース「eol」および人的資本パッケージより抽出した連結実績データを基に作成しています。 ※本記事で使用しているデータは当社独自の基準で算出しているため、各社の公表データと異なる場合があります。 投資判断に関する注意事項 ※本記事は、企業情報データベースeolに収録されているデータに基づく情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券等の取引を推奨し、または勧誘するものではありません。投資判断は、必ずご自身の責任において行っていただくようお願いいたします。また、本記事に記載されている情報は、その正確性、完全性を保証するものではなく、投資の結果について当社は一切の責任を負いません。
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2026.5.26 DL資料【2026年5月】売上高ランキング・当期純利益ランキング比較|営業CFで見る成長企業の特徴
当社が保有する企業情報データベースeolより、2026年3月期決算の上場企業を対象に、決算短信に記載された連結実績における売上高、親会社株主に帰属する当期純利益、営業キャッシュ・フローを抽出し、ランキング表としてまとめたものです。 売上高は企業の事業規模を示す代表的な指標です。一方、当期純利益は、売上から各種費用、税金、営業外損益、特別損益などを反映した最終的な利益を示します。さらに、営業キャッシュ・フロー(以下、営業CF)を確認することで、利益が営業活動による現金創出を伴っているかを補足的に見ることができます。 本記事では、売上高が大きい企業群と、当期純利益が大きい企業群を比較し、どちらに成長企業としての特徴がより表れているかを、売上高成長率、当期純利益成長率、営業CFの観点から考察します。 なお、本記事では、以下の3点を満たす企業を「成長企業としての特徴が相対的に強い企業」として整理します。 1.売上高成長率がプラス 2.当期純利益成長率がプラス 3.営業CFがプラス 売上高トップはトヨタ自動車50兆6,850億円、営業CFは9社がプラス 売上高ランキングでは、トヨタ自動車㈱が50兆6,850億円で首位となりました。2位は本田技研工業㈱の21兆7,966億円、3位は三菱商事㈱の18兆9,160億円です。 売上高トップ10には、輸送用機器が3社、卸売業が3社含まれており、グローバルな販売網や大規模な取引基盤を持つ企業が上位に並ぶ結果となりました。 順位 企業名 業種 売上高 親会社株主に帰属する当期純利益 営業CF 売上高成長率 当期純利益成長率 1 トヨタ自動車㈱ 輸送用機器 50兆6,850億円 3兆8,481億円 5兆4,729億円 5.51% ▲19.25% 2 本田技研工業㈱ 輸送用機器 21兆7,966億円 ▲4,239億円 1兆1,353億円 0.49% -- 3 三菱商事㈱ 卸売業 18兆9,160億円 8,005億円 1兆4,900億円 1.60% ▲15.81% 4 伊藤忠商事㈱ 卸売業 14兆8,231億円 9,003億円 1兆1,318億円 0.67% 2.27% 5 ㈱三菱UFJフィナンシャル・グループ 銀行業 14兆6,208億円 2兆4,272億円 ▲23兆644億円 7.27% 30.29% 6 NTT㈱ 情報・通信業 14兆4,091億円 1兆370億円 1兆4,852億円 5.14% 3.70% 7 三井物産㈱ 卸売業 13兆9,952億円 8,340億円 9,529億円 ▲4.56% ▲7.38% 8 ソニーグループ㈱ 電気機器 12兆4,796億円 1兆309億円 1兆9,456億円 3.69% ▲3.42% 9 日産自動車㈱ 輸送用機器 12兆79億円 ▲5,331億円 7,947億円 ▲4.95% -- 10 ENEOSホールディングス㈱ 石油・石炭製品 11兆7,655億円 2,587億円 6,200億円 ▲4.73% 14.44% ※金額は百万円単位の元データを億円単位に換算し、四捨五入しています。 ※「▲」はマイナスを示します。 売上高トップ10の売上高合計は、約185兆4,988億円です。売上高成長率がプラスとなった企業は10社中7社、当期純利益成長率がプラスとなった企業は、算出可能な8社中4社となりました。 営業CFを見ると、10社中9社がプラスです。特にトヨタ自動車㈱は5兆4,729億円、ソニーグループ㈱は1兆9,456億円、NTT㈱は1兆4,852億円の営業CFを計上しており、大規模な売上高に加えて、営業活動からの現金創出も確認できます。 一方、㈱三菱UFJフィナンシャル・グループの営業CFは▲23兆644億円となっています。銀行業の営業CFは、貸出金、預金、有価証券取引など、銀行業特有の資金移動の影響を受けやすいため、製造業や卸売業などの一般事業会社と単純比較する際には留意が必要です。 銀行業である同社を除いた売上高トップ9社の営業CF合計は、約15兆284億円となります。この点から、売上高トップ企業群は、事業規模の大きさに加え、多くの企業で営業活動による現金創出が確認できる企業群と考えられます。 当期純利益トップはソフトバンクグループ5兆23億円、銀行業3社・情報通信業2社が上位に 当期純利益ランキングでは、ソフトバンクグループ㈱が5兆23億円で首位となりました。2位はトヨタ自動車㈱の3兆8,481億円、3位は㈱三菱UFJフィナンシャル・グループの2兆4,272億円です。 当期純利益トップ10には、銀行業が3社、情報・通信業が2社、卸売業が2社含まれており、売上高ランキングとは異なる業種構成となりました。売上高ランキングでは輸送用機器や卸売業など、取扱高や販売規模が大きくなりやすい業種が目立つ一方、当期純利益ランキングでは、金融・通信・電機・総合商社など、利益額の大きい企業群が上位に並んでいます。 順位 企業名 業種 売上高 親会社株主に帰属する当期純利益 営業CF 売上高成長率 当期純利益成長率 1 ソフトバンクグループ㈱ 情報・通信業 7兆7,987億円 5兆23億円 ▲4,288億円 7.12% 333.72% 2 トヨタ自動車㈱ 輸送用機器 50兆6,850億円 3兆8,481億円 5兆4,729億円 5.51% ▲19.25% 3 ㈱三菱UFJフィナンシャル・グループ 銀行業 14兆6,208億円 2兆4,272億円 ▲23兆644億円 7.27% 30.29% 4 ㈱三井住友フィナンシャルグループ 銀行業 10兆7,909億円 1兆5,830億円 ▲10兆2,831億円 6.05% 34.37% 5 ㈱みずほフィナンシャルグループ 銀行業 9兆854億円 1兆2,486億円 ▲4兆8,385億円 0.61% 41.01% 6 NTT㈱ 情報・通信業 14兆4,091億円 1兆370億円 1兆4,852億円 5.14% 3.70% 7 ソニーグループ㈱ 電気機器 12兆4,796億円 1兆309億円 1兆9,456億円 3.69% ▲3.42% 8 東京海上ホールディングス㈱ 保険業 8兆8,723億円 9,804億円 5,843億円 3.96% ▲7.10% 9 伊藤忠商事㈱ 卸売業 14兆8,231億円 9,003億円 1兆1,318億円 0.67% 2.27% 10 三井物産㈱ 卸売業 13兆9,952億円 8,340億円 9,529億円 ▲4.56% ▲7.38% ※金額は百万円単位の元データを億円単位に換算し、四捨五入しています。 ※「▲」はマイナスを示します。 当期純利益トップ10の当期純利益合計は、約18兆8,918億円となりました。売上高トップ10の当期純利益合計である約10兆1,797億円と比較すると、利益額の面では当期純利益トップ10が大きく上回っています。 また、当期純利益トップ10では、売上高成長率がプラスとなった企業が9社、当期純利益成長率がプラスとなった企業が6社、売上高と当期純利益の双方がプラス成長となった企業が6社となりました。利益額の大きさに加えて、売上・利益の成長を同時に確認できる企業が一定数含まれている点が特徴です。 営業CFを見ると、当期純利益トップ10では10社中6社がプラスとなりました。一方、ソフトバンクグループ㈱および銀行業3社は営業CFがマイナスとなっています。特に銀行業の営業CFは、貸出金、預金、有価証券取引など金融業特有の資金移動の影響を受けやすいため、一般事業会社と単純比較する際には留意が必要です。 成長企業比較では、当期純利益トップ10が売上・利益成長で特徴、営業CFでは売上高トップ10に安定感 売上高トップ10と当期純利益トップ10を企業群として比較すると、それぞれ異なる特徴が見られます。 比較項目 売上高トップ10 当期純利益トップ10 売上高合計 約185兆4,988億円 約157兆5,601億円 当期純利益合計 約10兆1,797億円 約18兆8,918億円 営業CF合計 約▲8兆360億円 約▲27兆422億円 営業CF合計(銀行業除く) 約15兆284億円 約11兆1,439億円 平均売上高成長率 1.0% 3.5% 売上高成長率がプラスの企業数 7社 9社 当期純利益成長率がプラスの企業数 4社(算出可能8社中) 6社 売上高・当期純利益ともに成長した企業数 3社 6社 売上高成長率・当期純利益成長率・営業CFがすべてプラスの企業数 2社 2社 売上高トップ10は、売上高合計が約185兆4,988億円と非常に大きく、事業規模の大きさが特徴として表れています。また、銀行業である㈱三菱UFJフィナンシャル・グループを除く9社すべてで営業CFがプラスとなっており、多くの企業で営業活動による現金創出が確認できます。 一方、当期純利益トップ10は、当期純利益合計が約18兆8,918億円となり、売上高トップ10を大きく上回っています。さらに、売上高成長率がプラスの企業が9社、当期純利益成長率がプラスの企業が6社となっており、売上・利益成長の観点では、当期純利益トップ10の方が成長企業群としての特徴を相対的に強く示していると推察されます。 ただし、営業CF合計では、当期純利益トップ10は約▲27兆422億円となりました。これは、当期純利益トップ10に銀行業3社が含まれており、金融業特有の資金移動が営業CFに大きく影響しているためと考えられます。銀行業3社を除いた営業CF合計では約11兆1,439億円となり、一般事業会社を中心に見ると営業活動による現金創出も確認できます。 当期純利益トップ10は売上・利益成長で特徴、営業CFでは売上高トップ10の現金創出も確認 売上高ランキングと当期純利益ランキングを比較すると、売上高トップ10は「事業規模の大きさ」、当期純利益トップ10は「最終的な利益額の大きさ」が特徴として見られます。さらに営業キャッシュ・フロー、(以下営業CF)を加えることで、売上や利益が営業活動による現金創出を伴っているかを補足的に確認できます。 営業CFを見ると、売上高トップ10では10社中9社、当期純利益トップ10では10社中6社がプラスとなりました。当期純利益トップ10では、ソフトバンクグループ㈱のように当期純利益が大きい一方で営業CFがマイナスとなる企業もあり、当期純利益と営業CFの動きが必ずしも一致しないことが確認できます。また、銀行業の営業CFは、貸出金、預金、有価証券取引など金融業特有の資金移動の影響を受けやすいため、一般事業会社とは分けて確認することが望ましいと考えられます。 今回のデータでは、売上高トップ10は「規模」と「現金創出」、当期純利益トップ10は「利益額」と「売上・利益成長」という特徴が見られました。なお、売上高成長率・当期純利益成長率・営業CFのすべてがプラスとなった企業は、両ランキングとも2社であり、NTT㈱と伊藤忠商事㈱が該当します。 企業の成長性を確認する際には、売上高や当期純利益の絶対額だけでなく、売上高成長率、当期純利益成長率、営業CFを組み合わせて見ることが有用です。売上高は「規模」、当期純利益は「最終的な利益額」、営業CFは「営業活動による現金創出」を示すため、3つの指標を組み合わせることで、企業の特徴をより立体的に把握できます。 企業情報データベースeolで実現する効率的な企業分析 本記事の分析に使用した売上高、当期純利益ランキングの一部を下記よりダウンロードいただけます。 当社が提供する企業情報データベースeolでは、財務諸表の数値データを取得するだけでなく、提出された複数企業の財務データに加え、業種、上場市場、非財務情報などを横断的に取得できます。上場企業の成長性、収益構造、現金創出力を比較する際の基礎データとしてご活用いただけます。 本記事以外のデータが必要な場合や、ご興味がございましたら、お問い合わせフォームより、お気軽にお問い合わせください。 データについて ※本記事は、企業情報データベース「eol」より抽出した連結実績データを基に作成しています。 ※売上高は「連結実績-売上高」、当期純利益は「連結実績-親会社株主に帰属する当期純利益」を使用しています。 ※営業CFは「営業キャッシュ・フロー」を使用しています。 ※金額は百万円単位の元データを億円単位に換算し、億円未満を四捨五入しています。 ※「--」は、前期が赤字である場合など、成長率の比較に適さないデータを示しています。 ※銀行業など金融業の営業CFは、一般事業会社と性質が異なるため、単純比較には留意が必要です。 投資判断に関する注意事項 ※本記事は、企業情報データベースeolに収録されているデータに基づく情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券等の取引を推奨し、または勧誘するものではありません。投資判断は、必ずご自身の責任において行っていただくようお願いいたします。また、本記事に記載されている情報は、その正確性、完全性を保証するものではなく、投資の結果について当社は一切の責任を負いません。
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2026.4.24 DL資料【2026年4月】業種別 ROEランキング|資本効率と財務健全性の相関から読み解く「経営タイプ」
当社が保有する企業情報データベースeolより、全上場企業(連結財務諸表ベース)の当期純利益、自己資本、総資産を用いて、ROE(自己資本利益率)を中心に企業の資本効率と安全性を読み解いてみました。 業種別の傾向に加え、高ROEの背景にある負債活用の見方なども整理しています。 ROE(自己資本利益率)の判定基準と資本効率を客観的に評価するための補足指標の役割 2026年現在、日本市場で注目されている財務指標の1つは「ROE(自己資本利益率)」です。東京証券取引所による「資本コストや株価を意識した経営」の要請以降、企業には単なる利益の額ではなく、投資家から預かった資本をいかに効率よく回したかという「資本効率」が問われています。 ROE(自己資本利益率) 指標の説明 計算式 単位 株主から預かったお金(自己資本)を使って、 企業がどれだけ効率的に利益(当期純利益)を稼げたかを示す指標 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100 % 一般的には「8%」が優良企業の最低ライン(伊藤レポート基準)とされ、「10%〜15%」を超えるとグローバル水準でも極めて効率的な経営を行っていると判定されています。 しかし、ROEは「借金を増やして自己資本(分母)を小さく見せる」ことでも、表面上の数値を上げられてしまうことから、ROEの数値が高いからといって、無条件に優良企業と判断するのは危険です。そこで、ROEの「中身(質)」を正しく評価するために不可欠なのが、ROE分析時の補足指標と言われている「自己資本比率」です。 自己資本比率 指標の説明 計算式 単位 会社の全資本(総資産)のうち、銀行からの借入金など ではない「返済不要の自己資本(純資産)」が占める割合を示す指標 自己資本 ÷ 総資産 × 100 % この指標は、総資産のうち「返済不要な自分の資金」が占める割合を示します。 ROE(効率性)が高くても、自己資本比率(安全性)が極端に低い場合、それは「過大な借金によって無理に効率を上げている状態」かもしれません。 この二つの指標を組み合わせることで、その企業の収益が「本業の稼ぐ力によるものか(良質なROE)」、あるいは「財務リスクを負ったレバレッジによるものか(注意すべきROE)」を判別できるようになります。 業種別の収益性トレンドと構造的要因|高ROEを導く「資産を抑えた経営」の優位性 上場全33業種の連結ベース(赤字企業除外)におけるROE平均は10.3%となりました。この結果は、日本企業がグローバル水準の高いハードルを安定的に超え始めていることを示しています。ROEランキングの上位業種は下記の業種です。 上位2業種(サービス、情報・通信)に共通するのは、大規模な工場や店舗といった物理的な資産を最小限に抑える「資産を抑えた経営」という構造的な強みです。個別企業では、サービス業の㈱リログループ(ROE 63.5%)や、第5位の小売業(ROE 11.3%)に属する㈱ZOZO(ROE 45.9%)が代表例です。これらの企業は負債への依存度を低く保ちながら高収益を創出しており、金利上昇による支払利息増のリスクを抑えた、極めて強固な収益構造を維持していると推察されます。 一方、第3位の海運業は、保有資産は大きいものの、近年の世界的な運賃高騰という外部要因が利益を急拡大させ、資本効率を一時的に大きく押し上げたものと考えられます。 財務構成から見るROEの持続性|市場環境の変化に即した負債活用と収益リスクの検証 ROEを主役として見る際、決して見落としてはいけないのが「負債の活用度合い」です。ROEは、本業の儲けやすさだけでなく、「どれだけ借金(負債)を利用して効率を上げたか」という要素が含まれるからです。 「良いROE」:収益性主導型 本業の利益率が高く、無駄な資産を持たないことでROEが向上しているケース。自己資本比率も一定水準(40%以上など)を維持しており、金利上昇にも強い。 例:サービス業(ROE 14.0% / 自己資本比率 52.6%)や情報・通信業(ROE 13.8% / 自己資本比率 59.1%)。 「注意すべきROE」:財務レバレッジ主導型 本業の利益率は平凡でも、多額の借入によって自己資本を圧縮し、見かけ上のROEを上げているケース。 例:不動産業(ROE 12.9% / 自己資本比率 38.5%)や卸売業(ROE 8.9% / 自己資本比率 32.3%)。 特に、不動産業(ROE 12.9% / 自己資本比率 38.5%)のように、負債を成長の武器とする戦略は、低金利下では非常に有効な手法でした。しかし、金利がある世界に戻った現在では、利払い負担が直接的に利益を削り、ROEを圧迫するリスクとなります。 ROEの数値が高く、一見すると優良企業に見える場合でも、自己資本比率という「盾の厚さ」を併せて確認し、その効率性が「低金利という外部環境に依存したものではないか」を見極めることが、現代の企業分析には不可欠です。 ROEの「質」と「安全性」から読み解く4つの経営タイプ 本分析の主役であるROE(平均10.3%)と、補足指標である自己資本比率(平均53.0%)の平均値を基準に各業種を分析すると、各業種が「収益効率」と「金利耐性」のどちらのタイプに寄っているかが見えてきます。 【収益性・健全性高水準】効率的経営タイプ ROE 10.3%超 かつ 自己資本比率 53.0%超という、全業種平均をいずれも超える領域に位置し、強力な稼ぐ力と金利上昇に揺るがない財務基盤を両立した、理想的な資本効率を誇るタイプです。 代表業種:情報・通信業(ROE 13.8% / 比率 59.1%) 個別事例:㈱オービック(情報・通信業 / ROE 14.8% / 自己資本比率 91.0%) このタイプを象徴する情報・通信業の中でも、独自のソフトウェア資産を持つ企業は、負債に頼らず高い資本効率を実現しています。金利上昇局面においても利払い負担増のリスクがほぼなく、自前で次なる成長投資を行える「勝ち残り」の筆頭とも言えるポジションです。 【収益性重視・積極投資】負債活用型タイプ ROE 10.3%超 という高い資本効率を維持しつつ、自己資本比率は平均の 53.0%未満 という領域に位置し、負債を成長のテコ(レバレッジ)として活用することで自己資本利益率を引き上げているタイプです。 代表業種:サービス業(14.0% / 52.6%)、海運業(13.7% / 48.5%) 個別事例: ㈱リログループ(サービス業 / ROE 63.5% / 自己資本比率 22.1%) 業種平均(サービス業)は全業種平均をわずかに下回る位置にありますが、個別企業ではさらに積極的に負債を活用し、高いROEを叩き出すケースが目立ちます。金利コスト増を上回る事業成長を継続できるかが分析の焦点に置かれます。 【健全性重視・中長期投資】内部留保蓄積タイプ 自己資本比率 53.0%超 という高い安全性を保持する一方で、ROEは平均の 10.3%未満 という領域に位置し、現在は収益効率よりも将来の投資や不況への耐性を優先して資本を蓄積しているタイプです。 代表業種:精密機器(8.8% / 62.1%)、医薬品(8.4% / 66.4%) 個別事例:テルモ㈱(精密機器 / ROE 8.9% / 自己資本比率 67.5%) 長期的な研究開発や設備投資が必要な業界に多く見られます。短期的なROEは平均を下回りますが、強固な財務基盤(盾)を持つため、金利上昇や景気後退局面でも事業を継続し、次世代のイノベーションを狙える持久力が特徴です。 【社会基盤・安定収益】資本集約型タイプ ROE 10.3%未満 かつ 自己資本比率 53.0%未満 という、全業種平均をいずれも下回る領域に位置し、巨額の設備資産を前提としながら、資本効率の追求以上に社会インフラとしての継続性が重視されるタイプです。 代表業種:電気・ガス業(10.2% / 38.4%)、陸運業(7.6% / 36.8%) 個別事例:東日本旅客鉄道㈱(ROE 6.5% / 比率 30.2%) 設備投資のための多額の借入を抱えることが前提の構造です。数値の低さを単純に批判するのではなく、インフラとしての安定したキャッシュフローやコスト管理能力が評価の主眼に置かれます。 業界標準値を「モノサシ」とする多角的な企業分析の重要性 今回の分析を通じて最も強調したいのは、財務数値は、業界の標準値と比較して初めて、その真のカラーが見えてくるということです。 例えば、自己資本比率が30%台という数字一つをとっても、それが不動産業であれば「業界標準に沿った適切なリスクテイク」と評価されますが、精密機器業界においては「業界平均を大きく下回る深刻な事態」と解釈されるかもしれません。同様に、ROE 10%という数値も、アセットライトなIT業界では「さらなる向上が期待される水準」であり、インフラ業界であれば「極めて優秀な効率性」と捉えることができます。 数字は単なる結果ではなく、その企業が選んだ「戦略の履歴書」です。 就活生や転職希望者にとっては、志望企業の言葉やイメージの裏側にある「稼ぎ方の本質」を見極める武器として、ビジネスマンにとっては、金利上昇という新たな荒波の中で「本当に勝ち抜く企業」を選別するための判断基準として、このROEを主軸とした二軸分析の視点を、ぜひ日々の企業・業界分析に活用してください。客観的なデータに基づいた「精緻なモノサシ」を持つことが、不透明な時代における最大の防御であり、最大の攻撃となるはずです。 企業情報データベースeolで実現する効率的な企業分析 本記事の分析に使用した業種別ROEランキングの一部を下記よりダウンロードいただけます。このデータには、「全業種の平均比率やROE(自己資本利益率)TOP30社」が含まれており、企業分析や業界動向の把握にお役立ていただけます。 当社が提供する企業情報データベースeolでは、財務諸表の数値データを取得するだけでなく、提出された複数企業の開示書類を効率的に閲覧する機能などを用意しています。企業の戦略を適切に分析するには、定性情報からの分析も不可欠と考えられます。 本記事以外のデータが必要な場合や、ご興味がございましたら、お問い合わせフォームより、お気軽にお問い合わせください。 ※ 社数算出について 本記事の対象は全上場企業のうち、当期純利益、自己資本、総資産(いずれも連結)が取得可能な企業で算出しています。 ※ データについて 本記事で使用しているデータは当社独自の基準で算出しているため、各社の公表データと異なる場合があります。 ※ 投資判断に関する注意事項 本記事は、企業情報データベースeolに収録されているデータに基づく情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券等の取引を推奨し、または勧誘するものではありません。投資判断は、必ずご自身の責任において行っていただくようお願いいたします。また、本記事に記載されている情報は、その正確性、完全性を保証するものではなく、投資の結果について当社は一切の責任を負いません。
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2026.3.19 DL資料【2026年3月】当期純利益5年間増減額ランキング 食料品業編|約7割が増加を達成、有価証券報告書から読み解く「稼ぐ力」の真実
当社が保有する企業情報データベースeolより、食料品業における上場企業(連結財務諸表ベース)の当期純利益を算出し、ランキング表としてまとめました。 ※ データについて 本記事で使用しているデータは当社独自の基準で算出しており、各企業が決算資料等で開示している値と異なる場合があります。 ※ 算出について 本記事の対象は上場している食料品企業のうち、2020年と2025年の連結当期純利益が取得できた企業のみで算出しております。 食料品業界の利益動向|5年間で約7割の企業が利益増、数値の裏付けを読み解く統合分析の重要性 食料品業を対象に分析したところ、2020年から2025年にかけての5年間で、約7割にあたる企業が当期純利益を増加させていたことが判明しました。 この5年間は、パンデミックによる需要の急蒸発と急回復、地政学リスクに起因する記録的な原材料価格の高騰、そして歴史的な円安の進行など、極めて厳しい外部環境にありました。こうした激動の環境下において、食料品業界の企業のうち約7割が増益を達成したという事実は、各社が備えている適応力を示しています。 しかし、損益計算書に刻まれた最終利益の数値は、あくまで「結果」の把握にすぎません。個々の企業が具体的にどのような施策でこの荒波を乗り越えたのか、その実態を分析するためには、有価証券報告書の定性情報から数値の裏付けとなる企業活動を確認することが有効です。今回は、数値が示す成長がどのような経営戦略(価格転嫁、事業構造の再編、生産性の向上など)によって支えられたのかを分析します。 増減額ランキング上位3社の動向と利益占有の現状|分析で見える「変革の実行力」 今回の集計では、5年間の増減額上位10社で合計3,510億7,300万円に達しており、業界全体の増減額が上位企業に集中している実態が分かりました。 この偏りは単なる規模の差だけではなく、激変する環境下で各社が推進した「戦略の実効性」の差であると考えられます。ここでは、業界を牽引した上位3社の分析結果を紹介します。 【第1位】コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス 5年間の増減額:652億6,100万円 2020年当期純利益:△579億5,200万円 2025年当期純利益:73億900万円 5年前の500億円を超える巨額赤字から、全社一丸となった抜本的な構造改革を経て増減額首位となりました。有価証券報告書の分析からは、不採算事業の整理や物流網の抜本的な最適化、そして原材料高に対して価格改定を機動的に実施する営業体制を確立したことが収益改善に寄与した実態が読み取れます。さらに、ヘルスケア事業の譲渡など、コア事業へのリソース集中を徹底した経営判断が、V字回復という具体的な数値に反映されています。 【第2位】味の素 5年間の増減額:514億3,500万円 2020年当期純利益:188億3,700万円 2025年当期純利益:702億7,200万円 独自の「アミノサイエンス」を基軸に事業構造を再定義したことが成長の要因となりました。食品事業で培った知見を、半導体パッケージ基材(ABF等)に使われる電子材料事業へ展開したことで利益率を向上させています。低利益事業からの撤退と高価値領域へのシフトを加速させる「ASV経営」という戦略が、原材料リスクの影響を抑制する多角化収益基盤として、現在の実績に反映されているものと考えられます。 【第3位】アサヒグループホールディングス 5年間の増減額:498億7,300万円 2020年当期純利益:1,422億700万円 2025年当期純利益:1,920億8,000万円 経営方針を「量」から「プレミアム化(Value経営)」へ完全に転向させ、ブランド力を背景とした価格改定をグローバルで実施しています。有価証券報告書に示された戦略と、コスト増を上回る利益を創出している実績に整合性が見て取れます。世界基準の収益モデルを確立したことが、過去最高水準の利益更新という一つの裏付けとして現れています。 数値の背後に潜む、逆境を成長へ変えるための生存戦略 5年間の増減額上位3社以外の企業でも、独自の施策を実行した結果、利益を大きく伸ばしている事例が数多く見られます。ここでは、それらの中から特筆すべき戦略を持つ企業を抽出し、その分析内容の一部を公開します。 各社の具体的な「取り組み」が、5年間の推移においてどのような「収益結果」として反映されたのかを分析することで、企業の戦略的施策が後の数値にどう現れるかを知る重要な補足情報となります。 【第4位】東洋水産 5年間の増減額:394億8,800万円 2020年当期純利益:233億7,900万円 2025年当期純利益:628億6,700万円 有価証券報告書からは、北米市場の需要増を見越したカリフォルニア工場の拡張やメキシコ工場の新設など、積極的な成長投資を継続的に実施してきた取り組みが読み取れます。この「需要に即応する供給体制の整備」という先行投資が、原材料価格の高騰下においても、5年間での大幅な増収増益という確かな結果に繋がっています。 【第14位】寿スピリッツ 5年間の増減額:80億2,200万円 2020年当期純利益:41億円 2025年当期純利益:121億2,200万円 観光需要消失という逆境下において、同社がいち早く「通信販売の強化」と「ブランド価値の向上」に取り組んできたことが有価証券報告書の記載内容から分かります。この施策がECチャネルの急成長を支える土台となり、その後の人流回復局面では、インバウンド売上高100億円突破という収益貢献を導き出す要因となりました。過去の施策が、現在の業績回復という収益結果を示唆しています。 【第20位】ニチレイ 5年間の増減額:51億2,200万円 2020年当期純利益:196億900万円 2025年当期純利益:247億3,100万円 製造と自前の「低温物流(コールドチェーン)」の垂直統合、および物流DXへの先行投資を継続してきた取り組みが、深刻な物流コスト高騰という逆風を相殺する結果を生みました。「運ぶ力」を自社で磨き続けてきた戦略が、インフレ下での安定した増益維持という定量データへ反映されています。 物価高時代を生き抜く「分析視点」の磨き方|有価証券報告書を意思決定の武器にする 昨今の物価高は一過性の現象ではなく、「新常態(ニューノーマル)」となりました。こうした時代において、単年度の数値や目先のランキングのみで判断することには注意が必要です。有価証券報告書の「軌跡」という客観的な定性情報に基づき、数値の裏側にある経営の意図や事業構造の強みを深掘りする習慣こそが、次なる意思決定を支える有効な手段となります。 投資家の視点に立てば、利益増という結果の裏にある「価格支配力」を、有価証券報告書の記述から確認することが肝要です。インフレ下でも付加価値を価格に乗せ、その理由を論理的に語れる企業は、将来の成長投資や株主還元への余力も十分であり、長期的な投資価値を持っています。 また、ビジネスパーソンや就職・転職活動者にとっても、企業の「生存能力」を特定するためのモノサシとして、定量・定性の統合分析は有効です。5年スパンで利益を積み上げている事実は、その企業が人的資本や賃金上昇への投資余力を持っていることを意味します。 有価証券報告書を精読し、逆境をどのように利益へと転換させたかのプロセスを確認することは、不透明な時代において自身のキャリアを築く場を特定するための一助となるでしょう。データから表面的な数字以上のメッセージを読み解く力が、自身の投資やキャリアを守る第一歩となります。 企業情報データベースeolで実現する効率的な企業分析 本記事の分析に使用した食料品業界 当期純利益5年推移ランキングの一部を下記よりダウンロードいただけます。このデータには、「各社の2020年から2025年における当期純利益増減額TOP30社」が含まれており、企業分析や業界動向の把握にお役立ていただけます。 当社が提供する企業情報データベースeolでは、財務諸表の数値データを取得するだけではなく、提出された複数企業の開示書類から業績に関する記載内容を一覧で確認できるほか、「事業再編」「生産性向上」といった、任意のキーワードで検索し、該当箇所を瞬時に表示できる検索機能などを用意しています。企業の戦略を適切に分析するには、定性情報からの分析も不可欠と考えられます。 本記事以外のデータが必要な場合や、ご興味がございましたら、お問い合わせフォームより、お気軽にお問い合わせください。 ※ 投資判断に関する注意事項 本記事は、企業情報データベースeolに収録されているデータに基づく情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券等の取引を推奨し、または勧誘するものではありません。投資判断は、必ずご自身の責任において行っていただくようお願いいたします。また、本記事に記載されている情報は、その正確性、完全性を保証するものではなく、投資の結果について当社は一切の責任を負いません。
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2026.2.19 DL資料【2026年2月】有利子負債比率 業種ランキング |全業種平均を「比較基準」とする個社評価と、3つの財務パターン
当社が保有する企業情報データベースeolより、上場企業(連結財務諸表ベース)の有利子負債、自己資本、総資産のデータを抽出し、業種別に有利子負債比率(対自己資本)、有利子負債依存度(対総資産)、自己資本比率を算出、ランキング表としてまとめました。 ※ データについて 本記事で使用しているデータは当社独自の基準で算出しており、各企業が決算資料等で開示している値と異なる場合があります。 ※ 算出について 本記事の対象は上場企業のうち、自己資本がマイナス(債務超過)の企業を除き、各データが取得できた連結決算企業のみを対象として、 各社ごとに算出した指標の平均値を使用、全業種平均は各社の指標を直接集計した値を算出しております。 財務戦略を評価する3つの「モノサシ」 ― 資本構成の定義 借入(有利子負債)の規模は、個々の経営方針だけで決まるものではありません。その背景には、ビジネスモデルや収益構造といった「事業の性質」という、各業界特有の共通ルールが存在しています。 本記事では、この見えにくい「業界ごとの標準的な姿」を明らかにするため、国内上場企業(連結決算ベース)を集計し、業種別に分析しました。 企業の資本構成を多角的に評価する際は、ひとつの指標だけで判断するのではなく、相互に関わり合う「以下の3つの指標」を組み合わせてバランスを把握することが不可欠です。業界全体の平均値を「モノサシ(基準)」としてこれらを読み解くことで、対象企業の数字が業界のスタンダードに沿ったものなのか、あるいは独自の戦略によるものなのかを、客観的に判断できるようになります。 ●有利子負債比率 (自己資本に対する借入の倍率を示す指標) • 計算式: 有利子負債 ÷ 自己資本 × 100 • 一般的な適正水準: 100~200%程度(業種により異なる) ●有利子負債依存度 (総資産のうち借入によって調達されている割合を示す指標) • 計算式: 有利子負債 ÷ 総資産 × 100 • 一般的な適正水準: 30~50%程度 ●自己資本比率 (総資産のうち自己資本で調達されている割合を示す指標) • 計算式: 自己資本 ÷ 総資産 × 100 • 一般的な適正水準: 40%以上が望ましいとされる(業種により異なる) これら3つの指標は、互いに密接に連動しています。 自分のお金(自己資本)が多ければ、全体に占める借入の割合(依存度)は自然と低くなります。また、同じ額の借入をしていても、自己資本をいくら持っているかで「借入の重み(比率)」の見え方は全く変わります。 これら3つをセットで見ることで、その業界がどのような戦略で動いているのか、財務の全体像がより詳細に見えてきます。 有利子負債比率ランキングTOP3業種 ― その他金融業が293.0%で首位 国内上場企業(連結決算ベース)の各指標から全業種平均を分析した結果、有利子負債比率が75.5%、有利子負債依存度が20.4%、自己資本比率が50.1%となりました。 ランキング上位に並んだ業界は「あえて借入を活用することで、自分たちのお金をより効率的に増やそうとする」という共通した特徴があります。 これは、「レバレッジ(てこの原理)」と呼ばれ、少ない手元資金に借入金を加えることで、より大きなビジネスを動かして収益を最大化させる戦略です。この戦略を積極的に取り入れている業界ほど、有利子負債比率という数字が目立って高くなる傾向にあります。 【第1位】その他金融業 (平均有利子負債比率 293.0%) リースや信販を扱うこの業界は、総資産の約4割を借入でまかなっています(依存度39.6%)。自己資本(24.1%)の約3倍を借りている計算ですが、これは「借りたお金」を設備や融資に変えて利益を出す仕組みであり、借入そのものが事業の手段と言えます。代表例として、みずほリースやNECキャピタルソリューションなどが挙げられます。 【第2位】証券、商品先物取引業 (平均有利子負債比率 158.4%) 借入そのものの割合は平均的ですが(依存度22.1%)、効率を求めて自己資本(35.6%)をあえて少なめに保っているのが特徴です。市場の動きに合わせて機動的に資金を調達し、手元の資金を余らせずに効率よく稼ぐ運営スタイルと言えます。代表例として大和証券グループ本社などが挙げられます。 【第3位】不動産業 (平均有利子負債比率 151.7%) ビルやマンションの取得に巨額の資金が必要なため、全業界で最も借入への依存度が高いのが特徴です(依存度44.0%)。一方で、資産そのものに高い価値があるため多額の借入が可能であり、自己資本(38.6%)以上に借入を活用してビジネスを動かす戦略をとっています。代表例として日本エスコン、トラストホールディングスなどが挙げられます。 上位の業界には、借入を「成長の原動力」にする共通の戦略があります。安定した収益や担保となる資産があるからこそ、積極的に借入を活用することがビジネス上の合理的な選択となっているのです。 ビジネスモデルで決まる「3つの財務パターン」 各業種の平均データを詳細に分析すると、財務戦略の型は大きく3つのパターンに分類することができます。 ① 積極借入型(高レバレッジ型) <有利子負債比率150%超、依存度20~45%前後の業種> TOP3のその他金融、証券、不動産業が該当します。自己資本以上の借入をしてビジネス規模を大きくする戦略となり、「借入そのものが多い不動産」と「効率重視で自己資本を絞る証券」という違いはありますが、いずれも外部資本が収益拡大の鍵です。このグループは、有利子負債比率の一般的な適正水準(100%以下)を大きく上回る「150%超」が標準である点が特徴です。 ② バランス型 <有利子負債比率100~150%、自己資本比率40%前後の業種> 電気・ガス、建設、小売業などがこのタイプです。発電所や店舗などの「大きな設備」を借入で作りつつ、自己資本もしっかり確保して守りを固める戦略です。例えば電気・ガス業は、借入は多めですが収益が安定しているため、高い健全性を維持できています。投資と守りのバランスを最適に保っている、最も標準的な形と言えます。 ③ 安全重視型(自己資本重視型) <有利子負債比率35%以下、自己資本比率60%前後の業種> 鉱業、鉄鋼、ゴム製品業などが該当します。借入に頼らず、手厚い自己資本をメインに運営する戦略です。これらの業界は、巨大な設備が必要な一方で、景気によって利益が変動しやすいため、あえて借入を最小限に抑えています。どんなに外部環境が厳しくなっても事業を継続できる「体力」を蓄えているのが特徴です。 金利上昇の影響 ― 業種ごとの「耐性」を読み解く 金利が上昇する局面では、業界ごとの「借入への依存度」によって、受ける影響がはっきりと分かれます。 不動産や金融、電気・ガスといった「借入への依存度が高い業界(依存度35〜45%前後)」は、金利が上がると利息の負担が増え、利益が削られやすくなる性質を持っています。ただし、こうした業界は「長期の固定金利」で借りていることも多く、すぐに影響が出るとは限りません。 一方で、借入が極めて少ない鉱業や鉄鋼などの「自己資本重視型」の業界は、金利が上がっても支払う利息がほとんど増えないため、経済の変化に強い耐性を持っています。このように各業界の標準を知っておくことは、経済ニュースが自社や投資先にどのような影響を及ぼすかを予測するための、強力な武器となります。 業種平均を知ることで見えてくる「企業の本当の姿」 借入の適正額は、事業の種類によって全く異なります。そのため、各業界の特性を知らずに、一律の基準で会社の良し悪しを判断することはできません。 例えば不動産業において、もし「借入ゼロ」にこだわれば、新しい物件を買うチャンスを逃し、ライバルに追い抜かれてしまいます。この業界では、借入を活用して大きなビジネスを動かすことこそが正しい戦略なのです。 つまり、「業界平均」は、その事業を無理なく続けるための「標準的なモノサシ」となります。このモノサシを基準にすることで、初めてその会社の数字が「業界特有の仕組み」によるものなのか、それとも「独自の攻めた戦略」によるものなのかを、正しく見分けられるようになります。 企業情報データベースeolで実現する効率的な企業分析 本記事の分析に使用した有利子負債比率データの一部を下記よりダウンロードいただけます。このデータには、「全業種の平均比率や上位業種内のTOP30社」が含まれており、企業分析や業界動向の把握にお役立ていただけます。 「有利子負債比率が高い業界」という事実だけでは、その企業の健全性を測ることは困難です。有利子負債に関連する指標を分析する際、それが「業界標準(平均)」に沿ったものか、それとも「平均から乖離した独自戦略」なのかを把握することが、企業分析の出発点になると考えられます。 当社が提供する企業情報データベースeolでは、本記事で使用した指標以外にも、複数の財務指標を組み合わせた業種別比較(マクロ視点)や長期間にわたる同業他社比較(ミクロ視点)を行うことが可能です。 企業の財務戦略を適切に評価するには、業種特性を理解した上での多角的なデータ分析が不可欠です。「全業種の平均データ」から「特定企業の長期的な戦略」を比較することで、数値の背後にある企業の真の財務戦略を読み解くことが可能になると考えられます。 本記事以外のデータが必要な場合や、ご興味がございましたら、お問い合わせフォームより、お気軽にお問い合わせください。 ※ 投資判断に関する注意事項 本記事は、企業情報データベースeolに収録されているデータに基づく情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券等の取引を推奨し、または勧誘するものではありません。投資判断は、必ずご自身の責任において行っていただくようお願いいたします。また、本記事に記載されている情報は、その正確性、完全性を保証するものではなく、投資の結果について当社は一切の責任を負いません。
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2026.2.19 DL資料【2026年2月】1人当たり営業利益ランキング 小売業編|平均年収との相関で見る稼ぐ力と社員還元度
当社が保有する企業情報データベースeolより、上場している小売業企業の1人当たり営業利益と平均年収を抽出し、ランキング表としてまとめたものです。 ※ 社数算出について 本記事の対象は小売業の上場企業のうち、営業利益、従業員数、平均年収のデータが取得できた企業のみで算出しております。 ※ データについて 本記事で使用しているデータは当社独自の基準で算出しており、各企業が決算資料等で開示している値と異なる場合があります。 1人当たり営業利益と平均年収で見る小売業界の実態 本記事では小売業企業の「稼ぐ力」と「社員への還元度」を正しく比較するため、全企業の単体データに基づき分析しました。一般的に連結決算はグループ全体の規模を示しますが、特に就職・転職検討者が注目する「平均年収」は、有価証券報告書において単体(その会社本体)の数値のみが開示されています。そのため、年収の原資となる営業利益もあわせて単体ベースで算出することで、社員1人が生み出す利益と給与の相関をより正確に評価することが可能となります。 全社の単体データより分析した結果、小売業界全体の1人当たり営業利益は平均で約19.4百万円(中央値:3.1百万円)となり、これに対応する単体平均年収は平均で約557.6万円(中央値:約529.3万円)の結果でした。本分析ではこれらの中央値を基準に、業界内での各社の立ち位置を分類し、横並びに評価することで、実店舗を運営する事業会社とグループ管理を担う持株会社の違いが、数値としてより鮮明に浮かび上がりました。 1人当たり営業利益ランキング― 首位クリエイトSDは767.5百万円、上位を独占する持株会社 1人当たり営業利益のランキングでは、上位に持株会社と高効率な専門店が並ぶ結果となりました。 首位となったのは株式会社クリエイトSDホールディングスで、1人当たり営業利益は約767.5百万円(平均年収1,044.3万円)を記録しています。 次いでプリモグローバルホールディングス株式会社が683.0百万円(平均年収721.9万円)、スギホールディングス株式会社が581.2百万円(平均年収881.4万円)と続き、上位3社を持株会社が占めています。 これら持株会社が極めて高い数値を示す背景には、少数の本部社員でグループ全体の収益を管理する組織構造が影響していると推察されます。 一方で、実質的な事業運営を担う企業も健闘しており、株式会社ワークマンは58.5百万円(平均年収770.6万円)で23位を記録しました。同社は持株会社ではありませんが、独自のビジネスモデルを構築しており、作業服中心の事業運営から、近年は一般消費者向けの高機能ウェアなどの新業態を展開し、市場を拡大しています。 専門店が総合スーパー等と比較して高い収益性を実現できる理由としては、商品カテゴリーの絞り込みによる仕入れの専門化や、店舗オペレーションの徹底した標準化による人件費抑制が寄与していると考えられます。 平均年収ランキング ― ファーストリテイリング1,250.6万円が首位、本部機能と現場で異なる給与構造 平均年収ランキングでも、1,000万円の大台を超えた上位3社がいずれも「持株会社」という結果になりました。しかし、その内実を1人当たり営業利益とあわせて見ると、各社の経営状況や戦略の違いが鮮明に浮かび上がります。 首位の株式会社ファーストリテイリング(平均年収:1,250.6万円)は、1人当たり営業利益も242.3百万円と業界トップクラスの収益性を誇ります。グローバル展開による高い収益力を背景に、世界水準の専門人材を確保するための高い還元水準を維持していることが推察されます。 2位の株式会社エルアイイーエイチ(平均年収:1,058.0万円)は、上位3社の中で唯一、1人当たり営業利益が▲140.3百万円と相対的に厳しい収益状況にあります。収益面で苦戦しながらも高水準の給与を維持している背景には、事業再生や新規事業の立ち上げを担う高度な専門職を維持・確保するための先行投資的な側面があるのではと推察されます。 3位の株式会社クリエイトSDホールディングス(平均年収:1,044.3万円)は、1人当たり営業利益が約767.5百万円と、今回ランクインした企業の中でも群を抜いた効率性を記録しています。同社は従業員数わずか11名という極めて少数精鋭の組織でグループ全体の経営管理を担っており、その圧倒的な経営管理効率が1,000万円を超える高い還元を支えていると推察されます。 就職・転職検討時の重要なポイント: 今回のランキング上位企業の多くを占める持株会社は、グループ全体の経営企画や財務、グローバル戦略などを担う管理部門の社員のみで構成されるのが一般的です。そのため、平均年収はあくまで本部機能を担う社員の給与水準を反映しており、グループ全体の平均や店舗現場の給与実態とは異なる場合があることに注意が必要です。 就職・転職検討先として、百貨店運営会社、アパレル事業会社、店舗運営会社などを志望する場合、実際には持株会社の事業子会社での勤務となり、労働環境などが異なる可能性も考えられます。採用先が「持株会社本体」か「事業子会社」のどちらなのか、また、子会社の労働条件や将来的なキャリアパスの可能性などを確認することが志望先の選定において極めて重要です。 4タイプ分析で見えた社員還元の実態 ―「高収益×高年収」が35%を占める小売業の二極化トレンド 小売業界の企業を1人当たり営業利益の中央値(3.1百万円)と平均年収の中央値(529.3万円)を軸に分類したところ、企業の経営戦略や還元姿勢の違いが4つのタイプとして明確になりました。 【Aタイプ】 高収益×高年収(対象数:119社、構成比:約35%) これまでに紹介したクリエイトSDホールディングス(1人当たり営業利益:767.5百万円、平均年収:1,044.3万円)、ファーストリテイリング(242.3百万円、1,250.6万円)、ワークマン(58.5百万円、770.6万円)の他、イオン(96.0百万円、947.1万円)などが該当します。 これらの企業は、独自のビジネスモデルや徹底した「ローコストオペレーション」、自社開発製品(PB)の比率向上等の効率的な戦略が、高い1人当たり営業利益に貢献していると推察されます。効率化によって創出した利益を従業員の待遇向上に振り向ける「収益と還元の好循環」が構築されており、企業の稼ぐ力と社員への還元姿勢が両立していると考えられます。 【Bタイプ】 低収益×高年収(対象数:51社、構成比:約15%) 株式会社エルアイイーエイチ(1人当たり営業利益:▲140.3百万円、平均年収:1,058.0万円)、株式会社ベクターホールディングス(▲17.6百万円、678.6万円)などが該当します。 このタイプには、成長投資や人材確保を優先して高い給与水準を維持している企業や、一時的な利益変動により中央値を下回っている企業が含まれます。就職・転職を検討する場合、今後の収益性改善の見込みや、持株会社の場合は実際の配属先の労働条件を個別に確認することが重要です。 【Cタイプ】 高収益×低年収(対象数:51社、構成比:約15%) 株式会社エービーシー・マート(1人当たり営業利益:13.5百万円、平均年収:424.7万円)、くら寿司株式会社(3.3百万円、499.1万円)などが該当します。 これらの企業は、成長投資を優先している、あるいは人件費以外のコストが高いなどの要因が考えられます。1人当たりの稼ぐ力は中央値を上回る水準にあるため、今後の事業拡大に伴う企業の成長により、将来的に給与水準が向上する可能性も考えられます。 【Dタイプ】 低収益×低年収(対象数:119社、構成比:約35%) 株式会社マックハウス(1人当たり営業利益:▲4.7百万円、平均年収:444.2万円)、株式会社アトム(▲1.3百万円、459.1万円)などが該当します。 市場の成熟や価格競争の影響を受けているケースが見受けられます。就職・転職を検討する際は、一時的な業績変動なのか、あるいはビジネスモデル自体の課題なのかなど、企業の将来性や経営状況を慎重に見極める必要があります。 小売業界の分析で判明 ― 持株会社の経営管理効率と専門店の特化戦略が「収益と還元の好循環」を生む 今回の分析により、小売業界における「1人当たり営業利益」と「平均年収」の相関が明確になりました。全社を単体ベースで分析したことで、持株会社による経営管理の効率性と、特定分野に特化した専門店の稼ぐ力の強さが改めて浮き彫りとなりました。Aタイプに分類される企業のように、独自の強みを利益に変え、それを着実に社員に還元できているかどうかが、持続可能な企業成長の鍵であると推察されます。 収益力と給与還元の両立は容易ではなく、企業の経営戦略や業界特性によって大きく異なります。就職・転職活動を行う際は、収益力だけでなく給与還元の姿勢も含め、多角的な視点で企業を分析することをお勧めします。 企業情報データベースeolで実現する効率的な企業分析 本記事の分析に使用した小売業界 1人当たり営業利益×平均年収ランキングの一部を下記よりダウンロードいただけます。このデータには、「連結・単体毎に小売業企業各社の1人当たり営業利益のTOP30社」が含まれており、企業分析や業界動向の把握にお役立ていただけます。 当社が提供する企業情報データベースeolでは、複数の財務指標を組み合わせた業種別比較や同業他社比較により、より深い収益性分析が可能です。企業の財務戦略を適切に評価するには、業種特性を理解した上での多角的なデータ分析が不可欠と考えられます。本記事以外のデータが必要な場合や、ご興味がございましたら、お問い合わせフォームより、お気軽にお問い合わせください。 ※ 投資判断に関する注意事項 本記事は、企業情報データベースeolに収録されているデータに基づく情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券等の取引を推奨し、または勧誘するものではありません。投資判断は、必ずご自身の責任において行っていただくようお願いいたします。また、本記事に記載されている情報は、その正確性、完全性を保証するものではなく、投資の結果について当社は一切の責任を負いません。
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2026.1.23 DL資料【2026年1月】配当金支払額ランキング 東証プライム市場編|配当性向から見る株主還元の実態
当社が保有する企業情報データベースeolより、東証プライム市場に上場している企業の配当金支払額を抽出し、ランキング表としてまとめました。 ※ 社数算出について 本記事の対象としている企業は東証プライム市場に上場している企業のうち、金融業(銀行業、証券・商品先物取引業、保険業、その他金融業)を除く、連結決算企業のみで算出しております。 ※ データについて 本記事で使用しているデータは当社独自の基準で算出しており、各企業が決算資料等で開示している値と異なる場合があります。 東証プライム市場における配当金支払額の全体像と業種別傾向 今回の分析対象となる東証プライム上場企業の配当金支払額合計は約19兆6,235億円、1社あたりの平均配当金支払額は約138億円となりました。配当金支払額の上位企業は、多額の利益を株主に還元している企業として注目されます。 配当金支払額の上位企業を分析すると、1位はトヨタ自動車(輸送用機器)で配当金支払額1兆2,596億円、2位はソフトバンク(情報・通信業)で5,337億円、3位は日本電信電話(情報・通信業)で4,604億円となっており、これらの企業は、安定的な事業基盤と高い収益力により、株主への手厚い利益還元を実現していると考えられます。 4位はソフトバンクグループ(情報・通信業):4,327億円、5位は本田技研工業(輸送用機器):4,150億円と続き、TOP10企業の配当金支払額の合計は約4兆7,909億円と、対象企業全体の約24.4%を占めていました。 配当金支払額TOP3企業の詳細分析 配当金支払額上位3社であるトヨタ自動車、ソフトバンク、日本電信電話について、より詳細な分析をおこなうため、親会社株主に帰属する当期純利益を用いた配当性向を算出、分析しました。配当性向は、親会社株主に帰属する当期純利益のうち、どれだけを配当金として支払っているかを示す指標と言われており、一般的に、配当性向30~50%程度が適正水準とされています。TOP3企業の配当性向を見ると、26.4%~101.4%の範囲にあり、業種や経営方針により配当政策に大きな違いがあることが推察されます。 第1位:トヨタ自動車(輸送用機器) 配当金支払額:1兆2,596億円、親会社株主に帰属する当期純利益:4兆7,651億円で、配当性向:26.4%です。 配当金支払額で圧倒的な1位となり、2位のソフトバンクの2.4倍近い規模です。配当性向26.4%は一般的な適正水準と言われている30~50%を下回っており、利益に対して配当が控えめです。これは、電動化やモビリティサービスなど将来的な事業投資を重視しながら、安定的な配当を継続する保守的な配当政策を採用していると考えられます。親会社株主に帰属する当期純利益が4兆7,651億円という高水準にあることから、仮に配当性向を30%に引き上げた場合でも約1,700億円の増配余地があり、将来的な株主還元強化の可能性があると推察されます。グローバル自動車メーカーとして、安定配当を維持しながら成長投資とのバランスを取った財務戦略を実践していることが考えられます。 第2位:ソフトバンク(情報・通信業) 配当金支払額:5,337億円、親会社株主に帰属する当期純利益:5,261億円で、配当性向:101.4%です。 配当性向が101.4%と、当期純利益を上回る配当を実施しています。これは安定配当を重視する経営方針により、一時的に利益が減少した場合でも配当金額を維持していることが推察されます。通信事業は安定的なキャッシュフローを生み出すビジネスモデルであり、営業キャッシュフローから配当を支払う余力があると考えられます。配当性向が100%を超える状態は持続性に注意が必要ですが、通信インフラという収益基盤の安定性から、配当政策を維持できる財務体質を持っていると推察されます。ただし、今後の利益成長により配当性向を適正水準に戻していく可能性も考えられます。 第3位:日本電信電話(情報・通信業) 配当金支払額:4,604億円、親会社株主に帰属する当期純利益:1兆円で、配当性向:46.0%です。 配当性向46.0%と、適正水準と言われている30~50%の範囲内にあり、利益と株主還元のバランスが取れた配当政策を実施しています。通信インフラを保有する企業として安定的な収益を生み出し、継続的な配当を支払う財務基盤を持っていると考えられます。配当金支払額は4,604億円と大規模であり、多くの株主に対する還元を重視した経営を行っており、親会社株主に帰属する当期純利益が1兆円を超える中で、配当性向を40%台に維持することで、事業投資と株主還元の両立を図っていると見られます。 配当性向の分布から見る株主還元の実態と業種別傾向 業種別の分析を行うと、各業種が異なる配当政策を採用していることが明確に表れています。配当金支払額と配当性向を組み合わせて分析することで、企業がどの程度利益を株主に還元し、どの程度を事業投資に充てるかという経営判断が見えてきます。 輸送用機器(40社、平均配当性向87.5%) 平均配当性向は87.5%と高くなっていますが、これは利益が0に近い企業や一時的な減益企業が配当を維持したことで配当性向が上昇した影響が含まれていると推察されます。一方、トヨタ自動車(配当性向26.4%)や本田技研工業(配当性向49.6%)など主要企業の配当性向は適正水準にあり、設備投資や研究開発投資とのバランスを取りながら株主還元を実施していることが考えられます。配当金支払額ではトヨタ自動車が輸送用機器全体の約46%を占めるなど、大手企業の配当金支払額が高い傾向にあります。 情報・通信業(151社、平均配当性向33.2%) 平均配当性向は33.2%と適正水準です。ただし、ソフトバンクのように配当性向が100%を超える企業もあり、個社ごとの配当政策の違いが大きいことが考えられます。上位4社(ソフトバンク、日本電信電話、ソフトバンクグループ、KDDI)の配当金支払額合計は1兆7,690億円と、情報・通信業全体(2兆4,552億円)の約72%を占め、大手企業の配当金支払額が高い傾向が推察されます。 電気機器(124社、平均配当性向39.1%) 平均配当性向は39.1%と適正水準です。半導体製造装置、電子部品、家電など多岐にわたる製品を手がけ、グローバル市場で競争しているため、研究開発投資や設備投資が継続的に必要となる業界特性があります。そのため、配当性向を適正水準に維持しながら、将来の競争力強化のための投資とのバランスを取った配当政策を実施していることが推察されます。 卸売業(122社、平均配当性向38.6%) 平均配当性向は38.6%と適正水準です。卸売業は商品の流通を担う企業から、資源開発、インフラ投資、事業投資など幅広い領域で事業を展開する総合商社まで、多様なビジネスモデルを持つ企業が含まれます。特に三菱商事(配当性向42.9%)、伊藤忠商事(配当性向32.3%)、三井物産(配当性向30.5%)などの総合商社は、配当性向を30~40%台の適正水準を維持しながら、安定的な株主還元を実施していると考えられます。 化学(116社、平均配当性向40.1%) 平均配当性向は40.1%と適正水準です。素材、機能性化学品、医薬品原料など多様な製品を手がけ、製造業の川上に位置する基幹産業です。長期的な競争力を維持するためには、プラントの維持・更新、新技術開発、環境対応などへの継続的な投資が必要となります。そのため、配当性向を適正水準に保ちながら、研究開発費や設備投資とのバランスを取った財務戦略を実践していることが推察されます。 配当政策と企業の成長戦略 配当金支払額と配当性向の関係から、企業の株主還元と成長投資のバランスが読み取れます。 配当性向が低い企業は、利益の多くを内部留保として事業投資に振り向けていることが推察されます。トヨタ自動車のように配当性向26.4%の企業は、電動化や自動運転など将来的な成長分野への投資を優先しながら、安定的な配当を維持する戦略を採用していると考えられます。このような企業は、将来的に投資が収益化した際に増配を実施する可能性があり、長期的な株主還元の拡大が期待できると推察されます。 配当性向が適正水準にある企業は、株主還元と成長投資のバランスが取れており、持続可能な配当政策を実践していることが推察されます。三菱商事(配当性向42.9%)や伊藤忠商事(配当性向32.3%)、三井物産(配当性向30.5%)などの総合商社は、配当性向を30~40%台の適正水準に維持することで、事業環境の変化に対応しながら安定的な株主還元を実施していると言えます。 配当性向が高い企業は、成熟した事業モデルを持ち、大規模な成長投資よりも株主還元を優先する方針を採用していることが推察されます。ただし、配当性向が100%を超える企業については、一時的な減益による影響か、持続的な高配当政策かを見極める必要がありますが、ソフトバンクのように通信インフラという安定的な事業基盤を持つ企業は、営業キャッシュフローが潤沢であれば、一時的に配当性向が100%を超えても配当を維持できる可能性が考えられます。 東証プライム市場における配当金支払額ランキングを分析した結果、企業の配当政策は業種特性、収益力、成長戦略により多様であることが分かります。配当金支払額と配当性向を組み合わせて分析することで、企業の株主還元姿勢と将来的な配当余地を評価できると考えられます。配当性向から投資分析や投資判断を行う際の有用な材料の一つとして活用することで、配当重視の投資戦略や企業分析の精度を高めるうえで役立つと考えられます。 企業情報データベースeolで実現する効率的な企業分析 本記事の分析に使用した東証プライム市場に上場している企業の配当金支払額データの一部を下記よりダウンロードいただけます。このデータには、「東証プライム市場に上場している企業の配当金支払額TOP30」が含まれており、企業分析や業界動向の把握にお役立ていただけます。 当社が提供する企業情報データベースeolでは、本記事で使用した配当金の支払額や親会社株主に帰属する当期純利益に加えて、営業活動によるキャッシュ・フローや投資活動によるキャッシュ・フローといったデータも取得可能です。これらを組み合わせることで、フリーキャッシュフロー(営業CF + 投資CF)やキャッシュフロー配当性向(配当金支払額 ÷ 営業CF × 100)といった、配当の持続可能性をより詳細に分析できる指標を算出することが可能です。本記事以外のデータが必要な場合や、ご興味がございましたら、お問い合わせフォームより、お気軽にお問い合わせください。 ※ 投資判断に関する注意事項 本記事は、企業情報データベースeolに収録されているデータに基づく情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券等の取引を推奨し、または勧誘するものではありません。投資判断は、必ずご自身の責任において行っていただくようお願いいたします。また、本記事に記載されている情報は、その正確性、完全性を保証するものではなく、投資の結果について当社は一切の責任を負いません。
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2026.1.23 DL資料【2026年1月】営業利益 増加額 業種ランキング|10年推移から見る日本企業の本業収益力の変化
当社が保有する企業情報データベースeolより、上場企業における営業利益データを抽出し、ランキング表としてまとめました。 ※ データについて 本記事で使用しているデータは当社独自の基準で算出しており、各企業が決算資料等で開示している値と異なる場合があります。 日本企業を取り巻く10年間の環境変化 営業利益は、売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いた利益で、企業の「本業の稼ぐ力」を示す指標です。この10年間(2015年→2020年→2025年)、日本企業を取り巻く環境は大きく変化しました。 2015年時点はアベノミクス継続期で円安進行(1ドル120円前後)、2020年時点は新型コロナウイルス感染症の世界的流行とテレワーク・デジタル化の急速な進展、2025年時点は経済正常化と日銀のマイナス金利政策解除(2024年3月)、円安基調の継続(1ドル140〜150円台)という大きな転換点がありました。 業種別営業利益合計額と1社あたり平均営業利益 2015年から2025年の10年間で業種全体での営業利益合計額は:3兆9,092億円の増加、1社あたりの平均営業利益は101億円増加しました。業界全体の規模拡大とともに、企業単体の収益力も向上したことが推察されます。営業利益合計額の10年間増加額上位3業種を、業界規模と企業単体の収益力の両面から分析します。 第1位:輸送用機器 10年間増加額5兆6,666億円(伸び率82.3%) 営業利益合計額は2015年の6兆8,884億円から2025年の12兆5,550億円へと大幅に増加し、日本を代表する基幹産業の収益力向上を示しています。1社あたり平均営業利益も741億円から1,495億円へと倍増(成長率101.8%)しており、業界全体の回復力の強さが伺えます。2025年の業種内営業利益上位3社はトヨタ自動車が7兆7,441億円、本田技研工業が1兆2,135億円、スズキが6,429億円となっており、特にトヨタ自動車は2015年の2兆7,506億円から2025年には約2.8倍の7兆7,441億円へと右肩上がりの成長を遂げています。ハイブリッド車・電動車への事業転換、海外市場での販売拡大、そして生産効率化による利益率向上が、この成長を支えたと考えられます。 第2位:電気機器 10年間増加額4兆2,957億円(成長率83.5%) 営業利益合計額は2015年の5兆1,424億円から2025年の9兆4,381億円へと拡大しました。1社あたり平均営業利益は197億円から425億円へと2.2倍(成長率115.8%)に増加し、個別企業の収益力も大幅に向上しています。2025年の業種内営業利益上位3社はソニーグループが1兆4,057億円、日立製作所が8,782億円、東京エレクトロンが6,973億円となっています。特にソニーグループは2015年の646億円から2025年の1兆4,057億円と約21.8倍の急激な成長を遂げており、エンターテインメント事業とイメージセンサー事業が継続的に収益を牽引しています。デジタル化・映像化の世界的需要の拡大が業種全体の成長を支えたことが推察されます。 第3位:情報・通信業 10年間増加額2兆6,264億円(成長率54.7%) 営業利益合計額は2015年の4兆8,036億円から2025年の7兆4,300億円へと増加しました。上位3業種の中では相対的に低い成長率ですが、企業数も多く、全体的にバランスの取れた成長を遂げています。ただし1社あたり平均営業利益は163億円から154億円へと微減(成長率▲5.5%)しており、業界全体の拡大と個別企業の収益性には差異が見られます。2025年の業種内営業利益上位3社は日本電信電話㈱が1兆7,913億円、KDDI㈱が1兆911億円、ソフトバンク㈱が9,890億円となっています。テレワーク需要の拡大、クラウドサービスの普及、そしてDX投資の継続的な増加が、業界全体の営業利益を底支えしたと考えられます。 【注目業種】高成長を遂げた3業種の分析 営業利益合計額の増加額上位3業種以外で、特筆すべき業種の動向を紹介します。 海運業:全業種中最も高い成長率381.7% 1社あたりの平均営業利益で2015年の99億円から2025年の475億円へと4.8倍に増加し、全業種中最も高い成長率381.7%を記録しました。営業利益合計額も1,478億円から5,221億円へと3.5倍(成長率253.3%)に拡大しています。業種内上位3社は日本郵船が2,108億円、商船三井が1,509億円、川崎汽船が1,029億円となっており、特に商船三井は2015年の172億円から2025年には1,509億円へと約8.7倍(成長率774.6%)の驚異的な成長を遂げています。 2020年のコロナ禍では業種全体の営業利益合計が882億円まで落ち込み(2015年比▲40.3%)、日本郵船も387億円(2015年比▲41.5%)と大幅に減少しました。しかし2021年以降、世界的なコンテナ不足と運賃高騰により急速に回復し、2025年には業界全体がコロナ前を大きく上回る収益水準に達しています。海上物流の需要回復とサプライチェーンの正常化が業界全体の収益を押し上げたことが推察されます。 保険業:堅調な拡大で成長率149.7% 営業利益合計額で2015年の1兆5,465億円から2025年の3兆8,615億円へと2.5倍(成長率149.7%)に増加しました。1社あたり平均営業利益も1,406億円から2,970億円へと倍増(成長率111.3%)しており、業界規模・企業単体の両面で堅調な成長を遂げています。 業種内上位3社の成長は特に顕著で、東京海上ホールディングスは2015年の3,582億円から2025年の1兆4,600億円へと約4.1倍(成長率307.6%)、MS&ADインシュアランスグループホールディングスは2,871億円から9,290億円へと約3.2倍(成長率223.6%)の拡大を達成しています。2020年のコロナ禍でも業種全体の営業利益合計は1兆4,644億円(2015年比▲5.3%)とわずかに減少しましたが、2025年には大きく回復し、10年間で大幅な成長を遂げた業種と言えます。大手保険グループの海外事業拡大と保険料収入の増加が、業種平均を押し上げたことが推察されます。 石油・石炭製品業:赤字から黒字への転換 2015年の▲4,569億円の営業赤字から2025年には3,877億円の黒字に転換し、約8,447億円の改善を遂げています。1社あたり平均営業利益も2015年の▲415億円から2025年の431億円へと転換しました。 2020年時点でも△1,027億円と依然として赤字が継続していましたが、2021年以降の資源価格上昇と円安基調により、業界全体が黒字化に成功しています。業種内企業では、ENEOSホールディングスが2015年の△1,615億円から2025年には2,415億円へ、出光興産が2015年の△850億円から2025年には795億円へと大幅な改善を遂げています。資源価格の上昇と円安による追い風に加え、事業再編や設備効率化などの構造改革が業界全体の収益性向上に寄与したと考えられます。 営業利益データの実務的活用 10年という長期スパンで動向を追うことで、日本経済における産業構造の変化、各業種の成長性と課題、外部環境変化への適応力を多面的に理解でき、さまざまな立場から実務的な活用が考えられます。 ◆経営企画・事業開発部門での活用 自社の営業利益が業種平均と比較してどの水準にあるかを確認することで、競争力を客観的に評価できます。また取引先企業の属する業種の営業利益動向を把握することで、成長業種の顧客には積極的な提案、停滞業種の顧客には慎重な与信管理といった営業戦略に活用できると推察されます。 ◆企業分析や投資判断での活用 10年間で一貫して営業利益が増加している業種は長期投資に適している可能性があります。海運業の381.7%という驚異的伸び率や、輸送用機器・電気機器の安定成長は、長期投資における業種選択の重要な判断材料となります。 ◆就職・転職活動での活用 学生や転職検討者にとっては、志望業界の長期的な営業利益トレンドを参考にすることで、将来のキャリア展開を見通すことができます。輸送用機器、電気機器、情報・通信業のように成長を示している業種では採用意欲が高く給与水準も上昇傾向にある可能性、海運業や石油・石炭製品のようにV字回復を遂げた業種では事業構造転換の中での成長機会が多い可能性が推察されます。 企業情報データベースeolで実現する効率的な企業分析 本記事の分析に使用した業種別営業利益データの一部を下記からダウンロードいただけます。このデータには、「業種別の営業利益、10年間の伸び率」が含まれており、企業分析や業界動向の把握にお役立ていただけます。 当社では、このような詳細な企業データを網羅しており、企業や業界の調査・分析等にご活用いただける企業情報データベースeolをご提供しております。本記事以外のデータが必要な場合や、ご興味がございましたら、お問い合わせフォームより、お気軽にお問い合わせください。 ※ 投資判断に関する注意事項 本記事は、企業情報データベースeolに収録されているデータに基づく情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券等の取引を推奨し、または勧誘するものではありません。投資判断は、必ずご自身の責任において行っていただくようお願いいたします。また、本記事に記載されている情報は、その正確性、完全性を保証するものではなく、投資の結果について当社は一切の責任を負いません。