2026.8.3
【2026年8月】自己資本比率・当座比率ランキング|激変する社会情勢を生き抜く「財務健全性」
昨今の地政学リスクの高まりや物価・為替の大幅な変動など、先行きが不透明で不安定な社会情勢が続く中、企業の「不測の事態に耐えうる力」に改めて注目が集まっています。激変する環境下で事業を継続し、安定した経営を維持するためには、強固な財務基盤の構築が必要です。
本稿では、中長期的な財務健全性を示す「自己資本比率」と、短期的な手元の支払能力(資金繰りの安全性)を示す「当座比率」の2つの指標に着目し、東証プライム上場企業の2026年3月期データを抽出しました。各指標においてどのような業種・企業がランキングされているかを整理し、「不安定な社会情勢下でも、中長期または短期の揺るぎない財務力を誇る業種・企業」について数値データを確認します。
当社が保有する企業情報データベースeolのスクリーニング検索機能を活用し、東証プライム市場に上場している連結企業の2026年3月期の有価証券報告書より、自己資本比率、当座比率をランキング化しました。
各指標の詳細とポイント
自己資本比率(長期的な財務基盤の健全性)
返済義務のない「自己資本(純資産)」が、会社全体の資産(総資産)に対してどれだけあるかを示します。
特徴: 財務健全性の最も代表的な指標です。これが高いほど、不況などで一時的に赤字が出ても耐えられるだけの「クッション」、会社の安全性があることになります。
水準: 業種によって差があり一概には言えませんが、一般的に、40%以上で財務が安定していると見なされ、10%未満は資金ショートの注意が必要である危険水域とされます。
当座比率(流動比率より厳しい短期的な支払能力の評価)
流動資産から「棚卸資産(売れ残る可能性のある在庫)」を除き、すぐに現金化できる「当座資産(現金、預金、売掛金など)」のみを対象に、流動負債に対する支払能力を測ります。
特徴: 不良化の有無に関わらず売れなければ現金にならない在庫を除くため、流動比率より厳しい指標です。
水準: 100%以上あれば、当面の支払いに困る可能性は極めて低いと判断できます。
【自己資本比率編】中長期の「倒産リスク」を抑えた業種・企業を見る
【業種別平均】自己資本比率トップ5|財務のクッションが最も厚いセクターは?
東証プライム上場(2026年3月期)の主要業種における平均自己資本比率を算出し、上位5業種をランキング化しました。対象企業全体の平均自己資本比率は51.05%です。
| 順位 | 業種 | 平均自己資本比率 |
|---|---|---|
| 1 | ゴム製品 | 71.26% |
| 2 | その他製品 | 65.25% |
| 3 | 精密機器 | 64.78% |
| 4 | 機械 | 63.77% |
| 5 | 鉄鋼 | 63.70% |
データから確認できたこと
〇東証プライム上場企業の平均自己資本比率は51.05%で、平均でも安定水準の40%を上回る
〇業種別平均では「ゴム製品」が71.26%と最も高い比率
〇上位5業種(ゴム製品、その他製品、精密機器、機械、鉄鋼)はいずれも平均値が60%以上と高率
【個別企業トップ10】ほぼ無借金経営、90%超を誇る極めて強固な10社
東証プライム上場企業における、自己資本比率の上位10社は以下の通りです。
| 順位 | 企業名 | 業種(東証) | 連結自己資本比率(%) |
|---|---|---|---|
| 1位 | 株式会社キーエンス | 電気機器 | 94.57% |
| 2位 | 大平洋金属株式会社 | 鉄鋼 | 93.47% |
| 3位 | 株式会社北里コーポレーション | 精密機器 | 93.21% |
| 4位 | 宮越ホールディングス株式会社 | 不動産業 | 92.48% |
| 5位 | SMC株式会社 | 機械 | 91.49% |
| 6位 | eBASE株式会社 | 情報・通信業 | 90.97% |
| 7位 | 株式会社マースグループホールディングス | 機械 | 90.95% |
| 8位 | 株式会社MARUWA | ガラス・土石製品 | 90.51% |
| 9位 | 株式会社ダブルスタンダード | 情報・通信業 | 90.46% |
| 10位 | ファナック株式会社 | 電気機器 | 89.19% |
データから確認できたこと
〇自己資本比率が最も高い企業は、株式会社キーエンスで94.57%
〇ランキング上位9社(1位のキーエンスから9位のダブルスタンダードまで)が自己資本比率90%以上
【当座比率編】予期せぬ支払いにも即応できる「手元の支払能力」を見る
【業種別平均】当座比率トップ5|短期の資金繰りに最もゆとりがあるセクターは?
東証プライム上場(2026年3月期)の主要業種における平均当座比率を算出し、上位5業種をランキング化しました。対象企業全体の総計(平均当座比率)は163.79%です。
| 順位 | 業種 | 平均当座比率 |
|---|---|---|
| 1位 | 鉄鋼 | 332.20% |
| 2位 | 不動産業 | 288.07% |
| 3位 | 情報・通信業 | 248.54% |
| 4位 | 精密機器 | 217.57% |
| 5位 | ゴム製品 | 215.71% |
データから確認できたこと
〇東証プライム上場企業の平均当座比率(総計)は163.79%で、当面資金繰りに困る事がない100%を大きく上回る
〇業種別平均では「鉄鋼」が332.20%と最も高い
〇「鉄鋼」「精密機器」「ゴム製品」の3業種は、自己資本比率ランキングでも上位5位以内に位置
【個別企業トップ10】トップ10は超高率の即時支払能力の持ち主たちで、上位5社は1000%超
東証プライム上場企業における、連結当座比率の高い上位10社は以下の通りです。
| 順位 | 企業名 | 業種(東証) | 連結当座比率(%) |
|---|---|---|---|
| 1位 | 宮越ホールディングス株式会社 | 不動産業 | 5,862.88% |
| 2位 | 大平洋金属株式会社 | 鉄鋼 | 2,253.04% |
| 3位 | 大和工業株式会社 | 鉄鋼 | 1,081.59% |
| 4位 | 株式会社北里コーポレーション | 精密機器 | 1,047.20% |
| 5位 | 株式会社マースグループホールディングス | 機械 | 1,011.51% |
| 6位 | 株式会社キーエンス | 電気機器 | 997.42% |
| 7位 | 株式会社ダブルスタンダード | 情報・通信業 | 940.68% |
| 8位 | eBASE株式会社 | 情報・通信業 | 852.86% |
| 9位 | 双葉電子工業株式会社 | 電気機器 | 759.25% |
| 10位 | アリアケジャパン株式会社 | 食料品 | 699.39% |
データから確認できたこと
〇上位5社が当座比率1,000%以上
〇自己資本比率ランキングの上位10社のうち、7社が当座比率ランキングのトップ10と共通
ランキングから見えた「共通する財務傾向」
今回は、東証プライム上場企業の2026年3月期有価証券報告書データに基づき、「自己資本比率」および「当座比率」の2つのランキングを確認しました。
両ランキングには、「共通する財務傾向」が見られました。
短期と中長期の安全性が高い企業に見られる共通点
今回のデータ集計では、2つの個別企業ランキングの顔ぶれに高い共通性が見られました。自己資本比率トップ10社のうち7社が、当座比率のトップ10にも同時にランクインしています。
自己資本比率が極めて高く財務基盤が強い企業には、当座比率も高い企業が多く見られます。そのため、中長期の安定性と短期の支払い能力は、かなり似た動きを示すことがうかがえます。
企業情報データベースで実現する効率的な企業分析
今回は、自己資本比率、当座比率の業種別、企業別での各々5業種、10社をランキングしましたが、当社が提供する企業情報データベースeolを活用いただくことで、各種指標で業種別・企業別ランキングをはじめ、複数企業の経営指標等を効率的に収集することが可能です。
また、eolでは最大1961年からの有価証券報告書を閲覧いただけるので、企業戦略の分析に不可欠な定性情報の収集も効率的に可能となります。
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※本記事で使用しているデータは当社独自の基準で算出しているため、各社の公表データと異なる場合があります。
投資判断に関する注意事項
※本記事は、企業情報データベースeolに収録されているデータに基づく情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券等の取引を推奨し、または勧誘するものではありません。投資判断は、必ずご自身の責任において行っていただくようお願いいたします。また、本記事に記載されている情報は、その正確性、完全性を保証するものではなく、投資の結果について当社は一切の責任を負いません。