2026.6.17
【2026年6月】12月決算上場企業の業種別営業利益率ランキング|労働生産性で見る付加価値創出力
当社が保有する企業情報データベースeolおよび人的資本パッケージより、2025年12月期決算の連結財務データを取得できる企業を抽出し、業種別の売上高営業利益率と労働生産性をまとめました。
本記事では、まず業種別の売上高営業利益率ランキングを確認し、そのうえで補足指標として労働生産性を用いて、営業利益率と付加価値創出力の関係を考察します。
売上高営業利益率は、売上高に対して営業利益がどの程度残っているかを示す指標です。一方、労働生産性は、従業員1人当たりでどれだけの付加価値を生み出しているかを確認するための指標です。
無駄なく効率的に働き(労働生産性の向上)、高い付加価値を生み出すことで、最終的に会社に残る儲けの割合(営業利益率)が高い業界、企業があるのか考察します。
業種別営業利益率ランキング|
鉱業49.11%、証券・商品先物取引業42.63%で上位
まず、12月決算の上場企業(連結企業)を対象に、業種別の平均売上高営業利益率を確認しました。
業種平均で見ると、売上高営業利益率が最も大きい業種は、鉱業の49.11%でした。次いで、証券、商品先物取引業が42.63%、医薬品が24.07%、不動産業が19.67%、精密機器が13.77%となっています。
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業種別 平均売上高営業利益率ランキング 上位10業種
| 順位 | 業種 | 平均売上高 [百万円] |
平均営業利益 [百万円] |
平均売上高営 業利益率[%] |
平均労働生産性 [円] |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 鉱業 | 1,093,403 | 536,968 | 49.11 | 168,247,179 |
| 2 | 証券、商品先物取引業 | 27,283 | 11,631 | 42.63 | 64,347,017 |
| 3 | 医薬品 | 258,123 | 62,118 | 24.07 | ▲31,609,711 |
| 4 | 不動産業 | 93,394 | 18,368 | 19.67 | 37,343,873 |
| 5 | 精密機器 | 88,316 | 12,160 | 13.77 | 6,126,900 |
| 6 | 情報・通信業 | 40,278 | 4,877 | 12.11 | 3,057,833 |
| 7 | その他製品 | 130,919 | 15,137 | 11.56 | 2,933,432 |
| 8 | 食料品 | 644,813 | 71,045 | 11.02 | 6,105,191 |
| 9 | 電気機器 | 263,124 | 28,260 | 10.74 | 1,129,631 |
| 10 | ゴム製品 | 1,514,027 | 144,626 | 9.55 | 4,805,662 |
※平均値は各企業の売上高営業利益率および労働生産性を算出したうえで、業種ごとに集計しています。
鉱業は、平均売上高が1,093,403百万円、平均営業利益が536,968百万円、平均売上高営業利益率が49.11%となりました。今回の対象業種の中では、売上高に対して営業利益が大きく残る業種として表れています。
証券、商品先物取引業は、平均売上高が27,283百万円、平均営業利益が11,631百万円、平均売上高営業利益率が42.63%となりました。売上規模は鉱業と比べて小さいものの、売上高に対する営業利益の割合は高い水準です。
また、医薬品は営業利益率が24.07%で3位となりました。一方で、平均労働生産性は▲31,609,711円となっており、営業利益率と労働生産性が同じ方向に表れていない点が特徴的です。このような違いを確認するため、次章では補足指標として労働生産性を見ていきます。
労働生産性分析|鉱業が1億6,824万円でトップ
営業利益率は、売上高に対する営業利益の割合を示す指標です。収益性を見るうえで分かりやすい一方、企業がどの程度の人員規模で付加価値を生み出しているかまでは把握しにくい面があります。
そこで、補足指標として労働生産性を確認します。
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業種別 平均労働生産性ランキング 上位10業種
| 順位 | 業種 | 平均売上高 [百万円] |
平均営業利益 [百万円] |
平均売上高 営業利益率[%] |
平均労働生産性 [円] |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 鉱業 | 1,093,403 | 536,968 | 49.11 | 168,247,179 |
| 2 | 証券、商品先物取引業 | 27,283 | 11,631 | 42.63 | 64,347,017 |
| 3 | 不動産業 | 93,394 | 18,368 | 19.67 | 37,343,873 |
| 4 | 小売業 | 112,207 | 9,805 | 8.74 | 9,140,858 |
| 5 | 輸送用機器 | 763,534 | 42,434 | 5.56 | 7,492,487 |
| 6 | 化学 | 385,612 | 31,933 | 8.28 | 7,380,583 |
| 7 | 繊維製品 | 31,998 | 2,482 | 7.76 | 6,933,320 |
| 8 | 電気・ガス業 | 159,436 | 8,956 | 5.62 | 6,538,667 |
| 9 | 精密機器 | 88,316 | 12,160 | 13.77 | 6,126,900 |
| 10 | 食料品 | 644,813 | 71,045 | 11.02 | 6,105,191 |
※平均値は各企業の売上高営業利益率および労働生産性を算出したうえで、業種ごとに集計しています。
労働生産性ランキングでも、鉱業と証券、商品先物取引業が上位となりました。特に鉱業は、営業利益率ランキングと労働生産性ランキングの双方で1位となっており、売上高に対する利益の残りやすさと、従業員1人当たりの付加価値創出力の両面で高い水準にあります。
一方で、営業利益率ランキング3位の医薬品は、労働生産性ランキングでは上位に入りませんでした。営業利益率は売上高に対する営業利益の割合であるのに対し、労働生産性は粗付加価値を従業員数の2期平均で割って算出します。そのため、営業利益率が高い業種であっても、粗付加価値や従業員数の構成によって、労働生産性の水準は異なることが考えられます。
営業利益率ランキングと労働生産性ランキングの比較|
上位業種は一部共通するが順位は一致しない
営業利益率ランキングと労働生産性ランキングを比較すると、上位業種には一部共通する業種が見られる一方で、順位が大きく異なる業種もあります。
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営業利益率ランキング上位業種と労働生産性の比較
| 業種 | 営業利益率順位 | 平均売上高営業利益率[%] | 労働生産性順位 | 平均労働生産性[円] |
|---|---|---|---|---|
| 鉱業 | 1 | 49.11 | 1 | 168,247,179 |
| 証券、商品先物取引業 | 2 | 42.63 | 2 | 64,347,017 |
| 医薬品 | 3 | 24.07 | 27 | ▲31,609,711 |
| 不動産業 | 4 | 19.67 | 3 | 37,343,873 |
| 精密機器 | 5 | 13.77 | 9 | 6,126,900 |
| 情報・通信業 | 6 | 12.11 | 19 | 3,057,833 |
| その他製品 | 7 | 11.56 | 20 | 2,933,432 |
| 食料品 | 8 | 11.02 | 10 | 6,105,191 |
| 電気機器 | 9 | 10.74 | 25 | 1,129,631 |
| ゴム製品 | 10 | 9.55 | 11 | 4,805,662 |
鉱業と証券、商品先物取引業は、営業利益率・労働生産性のいずれも上位となりました。売上高に対して利益を残しやすく、かつ従業員1人当たりの付加価値創出力も高い業種として表れています。
一方、医薬品は営業利益率では3位ですが、労働生産性では27位となりました。また、電気機器は営業利益率では9位ですが、労働生産性では25位となっています。
このように、営業利益率が高い業種であっても、労働生産性が同じように上位になるとは限りません。営業利益率は「売上高に対する利益の残りやすさ」を示し、労働生産性は「従業員1人当たりの付加価値創出力」を示します。
そのため、営業利益率を見る際には、補足指標として労働生産性をあわせて確認することで、業種ごとの収益性と付加価値創出力をより多面的に把握できると考えられます。
労働生産性トップの㈱INPEXは鉱業平均の約1.9倍
次に、個別企業の事例として、今回の集計で労働生産性が最も大きかった㈱INPEXを確認します。
㈱INPEXは、東証業種分類では鉱業に属しています。同社の数値を鉱業平均と比較すると、以下の通りです。
| 項目 | 鉱業平均 | ㈱INPEX | 比較 |
|---|---|---|---|
| 売上高[百万円] | 1,093,403 | 2,095,451 | 約1.9倍 |
| 営業利益[百万円] | 536,968 | 1,063,342 | 約2.0倍 |
| 売上高営業利益率[%] | 49.11 | 50.74 | +1.63ポイント |
| 労働生産性[円] | 168,247,179 | 317,197,459 | 約1.9倍 |
㈱INPEXの労働生産性は317,197,459円で、鉱業平均の168,247,179円に対して約1.9倍の水準となりました。また、売上高営業利益率も50.74%と、鉱業平均の49.11%を1.63ポイント上回っています。
この結果から、㈱INPEXは所属業種である鉱業の中でも、売上規模、営業利益規模、営業利益率、労働生産性のいずれも大きい水準にあることが確認できます。
鉱業は、資源開発や生産設備、権益、国際的な資源価格などの影響を受けやすい業種と考えられます。㈱INPEXについては、売上高・営業利益ともに鉱業平均を大きく上回っており、粗付加価値を従業員数の2期平均で割った労働生産性も高い水準に表れています。
このように、㈱INPEXの事例では、営業利益率の高さと労働生産性の高さが同じ方向に表れており、売上に対する利益の残りやすさと、従業員1人当たりの付加価値創出力の双方が大きい水準にあると推察されます。
㈱メタプラネットは営業利益率70.60%でも労働生産性はマイナス値
次に、今回の集計で労働生産性が最も小さい値となった㈱メタプラネットを確認します。
㈱メタプラネットは、東証業種分類では卸売業に属しています。同社の数値を卸売業平均と比較すると、以下の通りです。
| 項目 | 卸売業平均 | ㈱メタプラネット | 比較 |
|---|---|---|---|
| 売上高[百万円] | 132,803 | 8,905 | 卸売業平均の約6.7% |
| 営業利益[百万円] | 7,111 | 6,287 | 卸売業平均の約88.4% |
| 売上高営業利益率[%] | 5.35 | 70.60 | +65.25ポイント |
| 労働生産性[円] | ▲185,484,645 | ▲3,639,961,539 | マイナス方向に大きい値 |
㈱メタプラネットは、売上高が8,905百万円で、卸売業平均の132,803百万円に対して約6.7%の水準です。一方、営業利益は6,287百万円で、卸売業平均の7,111百万円に近い水準となっています。
そのため、売上高営業利益率は70.60%と、卸売業平均の5.35%を大きく上回る結果となりました。
一方、労働生産性は▲3,639,961,539円となり、卸売業平均の▲185,484,645円と比較しても、マイナス方向に大きい値となっています。
この結果は、営業利益率が高い企業であっても、労働生産性が同じ方向に表れるとは限らないことを示す事例といえます。
特に、㈱メタプラネットのように、営業利益率が非常に大きい一方で労働生産性がマイナスとなっている企業では、営業利益だけでなく、粗付加価値の構成や従業員数との関係を確認する必要があります。
この事例からも、営業利益率のみでは、粗付加価値ベースの付加価値創出力を十分に説明できない可能性があると考えられます。
総論|営業利益率と労働生産性を組み合わせることで、
収益性と付加価値創出力を多面的に把握
本記事では、12月決算の上場企業(連結企業)を対象に、業種別営業利益率ランキングを確認したうえで、補足指標として労働生産性を用いた分析を行いました。
業種平均で見ると、売上高営業利益率は鉱業が49.11%で最も大きく、次いで証券、商品先物取引業が42.63%、医薬品が24.07%となりました。
一方、労働生産性では、鉱業が168,247,179円で最も大きく、次いで証券、商品先物取引業が64,347,017円、不動産業が37,343,873円となりました。
鉱業と証券、商品先物取引業は、営業利益率と労働生産性の双方で上位に位置しており、収益性と付加価値創出力の両面で高い水準が確認できます。一方、医薬品や電気機器のように、営業利益率では上位に入っていても、労働生産性では順位が異なる業種も見られました。
営業利益率は「売上高に対する利益の残りやすさ」、労働生産性は「従業員1人当たりの付加価値創出力」を示します。個別企業分析で示したように両者を組み合わせて確認することで、企業や業種の収益性と生産性をより多面的に把握できると考えられます。
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当社が保有する企業情報データベースeolより、12月決算全上場企業(連結財務諸表ベース)の売上高、営業利益、営業利益率、労働生産性を業種ごとに集計し、ランキング表としてまとめたものです。
※本記事は、企業情報データベース「eol」および人的資本パッケージより抽出した連結実績データを基に作成しています。
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