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アイ・エヌ情報センターインサイト資本市場戦略株式資金調達、直近100社超が第三者割当実施【2026年8月集計版】

2026.8.17

株式資金調達、直近100社超が第三者割当実施【2026年8月集計版】

株式資金調達、直近100社超が第三者割当実施

(2026年8月集計)

株式による資金調達の手段は第三者割当・公募・株主割当があります。第三者割当は、企業が特定の個人や法人など第三者に対して新株を発行し、資金を調達する方法です。公募や株主割当と異なり、出資者を選定できるため、戦略的なパートナーシップ構築や事業拡大の資金確保に適しています。近年、多くの企業が第三者割当を活用し、規模の大きい資金調達を実現しています。自社の成長戦略に共感する投資家から資金を得ることで、企業価値の向上を目指すことができ、出資者のノウハウや経営資源を活用できます。一方、既存株主の持分比率が希薄化しますので、経営方針の相違や業績悪化時に、出資者から経営への介入が強まる可能性があります。特に、議決権比率が高い出資者がいる場合、経営の自由度が大きく制約される事態も生じることがあります。
本稿では、弊社データベース(ファイナンスDB)に収録された最新の発行情報をもとに、株式報酬制度による第三者割当を除いたディールについて分析しました。データから見えてくる第三者割当の実態について報告します。
また、当社が提供するファイナンスデータベースサービス INDB Funding Eyeから取得した株式報酬制度に基づく第三者割当とそれ以外の第三者割当について、2020年以降の推移も掲載しておりますので、あわせてご利用ください。


市場概況:第三者割当実施企業は100社を超え、公募実施企業の約10倍に

市場の動向です。直近の第三者割当は募集総額で公募の半分にも及びませんが、実施社数で増加を続けています。2020年以降の募集総額および実施社数は次の通りです。
2020年以降の株式による資金調達募集総額推移
2020年以降の株式による資金調達社数推移
第三者割当は出資者の特定により、割当先とのシナジー効果により市場の評価を高め、株価上昇の期待ができることから、資金調達の手段として選ぶ企業が多くなっていると推測されます。

業種別状況:第三者割当実施状況、時期によりバラツキ

2026年上期の第三者割当募集額が多い5業種について2021年上期と比較しました。2026年上期、最も多額を募集した保険業は5割近くを占めたものの、2021年上期には実施していません。2位の輸送用機器は2.6倍、3位の卸売業は20.7倍と増えたものの、4位のサービス業と5位の情報通信業は8分の1、3分の1と減りました。
業種別第三者割当募集額
株式による第三者割当は、その時その時の企業の状態に依存する傾向で、業種による特性は無いと思われます。

ディスカウント率フラットが177社、63.7%を占める

2025年1月以降に発行された株式の第三者割当のうちディスカウント率を一意に公表している企業を調べたところ、278社中、フラット(0%)発行企業が177社、63.7%を占めています。「有利発行」と見做される企業は4社あります。一方、プレミアム(0%未満)発行企業も6社あります。
2025年1月以降のディスカウント率設定状況
第三者割当-のディスカウント率は、割当先の属性により差がつくものの実務上10%前後をひとつの目安として「有利発行」と扱われることが多いです。10%を超える場合、有利発行か否かの議論で注目され、株主総会決議が必要となる場合があります。

まとめ:金融庁による規制強化が進む

今回は、株式による調達のみを分析しましたが、類似商品としてCB(転換社債型新株予約権付社債)にも、同様の傾向があります。社債としての性格もあることから、全体の募集額は大きい月もあるものの、第三者割当型での実施社数は2025年上期、2025年下期はいずれも5倍以上、2026年上期は2倍になっています。
金融庁は情報開示規制の強化が図るべく、次の内容等を開示事項として義務化しています。
・発行価格の算定根拠及び発行条件の合理性に関する考え方
・資金使途の詳細
・第三者評価の内容
第三者割当は、数字には表れない条件も含め、今後も注目すべき資金調達手段であると言えるでしょう。

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※ 今回対象から外した「普通株式の報酬型制度による第三者割当との比較」は下記よりダウンロードいただけます。なお、グラフは2020年以降のディールについて募集額を比較しています。

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