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アイ・エヌ情報センター導入事例『統計を「探す」から「使う」へ-流通研究と教育の質を高めたデータ環境の転換』
『統計を「探す」から「使う」へ-流通研究と教育の質を高めたデータ環境の転換』
大学 研究・講義
INDB Finder Pro

『統計を「探す」から「使う」へ-流通研究と教育の質を高めたデータ環境の転換』

2026.4.23

青山学院大学 経営学部 マーケティング学科 教授 東 伸一様

1949年創立の青山学院大学は、文理を超えて学部・大学院が連携するスタイルを通じた学びで広く知られる日本有数の私立大学です。研究・教育の両面において質の高い成果の発信に向けた継続的な取り組みに注力し、社会科学分野においても実証的・理論的な研究にもとづく知見が蓄積されています。

同大学経営学部では、授業やゼミにおいてINDB Finder Proを活用し、公的統計データをもとに地域構造や市場動向を読み解く実践的な教育が行われています。
今回は、流通・都市を対象としたマクロ研究を行う東伸一教授に、INDB Finder Proの導入背景と活用の実態についてお話を伺いました。

Point

  • INDB Finder Pro導入により、統計データを効率よく取得できる仕組みを整備
  • 誰もが同じ条件で分析に取り組める環境を整え、思考のプロセスを支える教育を実現
  • 生データを起点に「考える」経験を重ね、データリテラシーを育む学びを推進

統計を軸に、流通を読み解く。公的統計が支える教育・研究の現場

東教授の主な研究内容や担当されている授業、ゼミのテーマについて教えてください

東氏:
私の専門分野は「流通システム論」という、生産と消費を橋渡しする役割を果たす、巨大な社会的仕組みを研究する学問分野です。
流通は小売店舗を介して都市と密接に結びついているため、流通そのものに加えて都市との関係に着目した研究や各種の関連政策についての研究にも取り組んでいます。

マーケティングは、一定の条件組み合わせが揃ったときに登場する、流通のあり方のひとつの形態としてとらえられています。私が重視する対象は、個々の企業による市場創造のための活動そのものではなく、それらをより高次の集計水準でとらえた巨大な流通の社会的仕組み、つまり流通システム全体です。
「社会の中で流通が果たす役割」を、統計データを用いてマクロな視点から捉えることを研究のひとつの軸としています。個別企業の事例だけでは見えにくい、生産と消費、そして両者を連結する役割を果たす流通の全体的な構造や中・長期的な変化を把握するためには、公的統計のようなマクロデータが不可欠であり、研究においての基礎資料として活用しています。

わかりやすい例を挙げると、家計調査や商業動態統計などを通じて地域ごとの消費構造や人口動態などを含む社会構造の推移を捉え、それらの変化が他の要素と相互作用しながら流通の形態や都市空間の変容にどのような影響を与えているのかを分析しています。
流通を取り巻く生産と消費のあり方、そして小売流通の舞台となる空間の特徴、さらには流通活動に制約を課したり、その新しい形の登場を促したりする役割を果たす各種の制度の理解を踏まえ、私たちの生活を安全で快適、そして楽しいものにしてくれる、流通のさまざまな役割を多角的にとらえています。

授業では商学の基礎や流通論、マーケティングの入門科目を担当し、ゼミでは流通や都市に関する各種のテーマを設定し、関係する有力理論・仮説についての理解を深めながら、統計データを用いた演習も行っています。必要な場合には、フィールドワークを実施し、データから解釈した内容と実際の流通活動や都市空間の構造の照合作業も実施しています。
大人数の講義からグループワーク中心の授業、ゼミでの少人数演習まで幅広く担当していますが、いずれの場面でも統計データを用いながら産業の構造や地域特性などを紐解き、そこから市場の変化を読み解くことを重視しています。
こうした教育の中で、統計データをより有効かつ効率的に扱うための環境づくりも重要なテーマになっています。

実際の授業やゼミでは、INDB Finder Proをどのように活用されていますか

東氏:
授業では家計調査や商業動態統計をはじめとする各種の公的統計を用いた演習の際に、学生が自分でデータを取り出し、分析に入るための入り口として活用しています。
その中で学生には、特定の統計そのものについて詳しく説明するというよりも、社会や市場をどう読み解くかを考えてほしいため、まずはデータ探しの段階で時間や労力を使いすぎないよう意識しています。この段階で統計データ嫌いになってしまうのが、最も勿体ないことだからです。逆にここで興味・関心をもつことができれば、より複雑な現象にアプローチするために、自身で幅広く各種統計制度についての守備範囲を広げたり、取得したデータを分析するための適切な手法を主体的に学んだりすることも可能になっています。その入り口としてFinder Proの効用は非常に大きなものです。

Finder Proを利用すれば、統計の種類やキーワードなどを選択するだけで、必要なデータに迷うことなくすぐにたどり着くことができます。知りたいことと関係する統計を「探す」工程に多大な時間を費やすことがないため、抽出したデータの整理や分析を踏まえた考察や議論に集中できる点でも非常に重宝しています。

ゼミでは人口や事業所・企業動向に関する統計データなどをもとに、地域構造とその変化、流通・サービスと都市との関係を分析する際の基礎的なデータを活用しています。Finder Proは入口として非常に有用であり、さらに目的によっては他のデータも併用して、学生の皆さんがマクロ的な統計データに触れることで興味・関心の幅を広げたり、興味のある流通現象について、データのフィルターを通して洞察を深めようと試みたりする時、Finder Proがその教育上の真価を発揮してくれます。
研究の場面でも厳密なリサーチ・デザインを行う前に、(潜在的な)観察対象に関するマクロ的な傾向を把握し、現象を理論的にとらえるためのフレームワークを構築する際の助けになっています。

全体として、Finder Proは「専門的な局所的分析のための道具」というよりも、統計データを扱う最初の工程を効率化し、データに触れるまでのハードルを下げてくれ、かつデータに触れることによって初めて体感することのできる好奇心を芽生えさせてくれるツールだと感じています。
これまで統計に触れる機会が少なかった学生の皆さんにとっての新たな体験の場からゼミ生の研究用途に至るまで、同じ環境でデータを扱える点は、教育現場において特に重要だと思います。

現在は実践的にご活用されていますが、INDB Finder Proを導入する以前は、学生へのデータ教育において、どのような課題を感じられていたのでしょうか

東氏:
もともと授業では国や自治体が公表している公的統計を活用していましたが、必要なデータにたどり着くまでの手間が大きいことが課題でした。統計自体は公開されているものの、どこにどのデータがあるのか必ずしも分かりやすくなく、特にこの種の作業に慣れていない学生にとっては、分析に入る前の段階でつまずいてしまうケースも少なくありません。
そのため、演習のたびにデータ取得の方法から説明してゆく必要があり、データのハンドリングや分析結果の考察、さらには全体での議論に十分な時間を割けない状況が続いていました。

研究の場面でも、背景整理のために公的統計を確認する際、複数のサイトを行き来しながらデータを探す必要がありました。「探す作業」に多くの時間を取られてしまう点に以前から課題を感じていました。

また、公的統計を継続的に活用するには、データ取得までの工程が人によって異なりやすく、運用にばらつきが生じる面もありました。その結果、教育の場では同じ条件で分析を進めることが難しく、再現性を保ちにくい状況でもありました。

こうした課題を背景に解決策を模索する中で、これまでもアイ・エヌ情報センターの経済統計データベースを活用してきたご縁から、Finder Proをご紹介いただきました。
学生の皆さんにも広く活用してもらえる環境を整えたいと考えていたこともあり、Webベースでインストール不要で利用できるFinder Proのシンプルな特性がマッチしていました。さらに、複数の公的統計を同じ画面で扱える点も、授業や研究の場面で継続的に活用できると感じたことが、導入の後押しになりました。

生のデータから「考える力」を育てるINDB Finder Proの価値

INDB Finder Proを導入後、どのような効果が得られましたか

東氏:
Finder Proを導入したことで、公的統計を一つずつ探しに行く必要がなくなり、欲しいデータに素早くアクセスできるようになりました。
その結果、データ取得にかかる負担が大きく軽減されたと感じています。
取得までの手順も明確化され、誰が扱っても同じ条件で分析に入れる環境が整ったことは大きな変化でした。

「どこに何があるのか」を前提として説明をする必要がなく、教育の場でも分析の前提条件がそろえやすくなり、授業の進め方の幅が広がったと感じています。学生は早い段階でデータに触れられるようになり、分析や考察といった本来取り組んでほしい内容に、より多くの時間を充てられるようになりました。
統計を「探すもの」から「使うもの」へと位置づけを直すことができた点は、教育・研究の両面での大きな変化だったと思います。

INDB Finder Proを教育の現場で使う中で、どのような点に価値を感じていますか

東氏:
教育の現場におけるFinder Proの利用価値は、結果を先に見るのではなく、公的統計の生データをもとに「考える」ということを学生の皆さんに経験してもらえる点です。

近年は、特定の業界やテーマを入力すると整理された表やグラフ、コメント付きのレポートやダッシュボードがすぐに得られるデータベースも増えており、実務の現場では非常に便利だと感じています。
一方で、教育の立場から見ると「まとまった結果」が先に提示される環境には、慎重になる部分があるのも事実です。
生のデータを自分で見つけ、加工し、分析するというプロセスを踏まなければ、なぜその結果になるのかを理解することが難しいからです。
こうした経験そのものが、データと向き合う力を育てると考えています。

これはAIの使い方にも少し似ていると感じています。結果を得ること自体は容易になっていますが、その内容をどう解釈し、次にどう活かすかは、基礎となる知識やスキルがあってこそ可能になります。
その点Finder Proは、公的統計の生データに直接アクセスできる環境だからこそ、「思考の起点」としてデータを扱える点に価値を感じています。

将来的にはAIや自動抽出の仕組みを活用する場面はさらに増えていくでしょう。
ただその前提として、統計データを自分で扱い、考えるための基本的な力が身についていることが重要です。
その意味でFinder Proは、教育の目的に合ったデータ環境を提供してくれるツールと感じています。

教授から見て、学生の反応はいかがでしょうか

東氏:
学生の皆さんの場合、新しいシステムを扱う際、最初は「難しそう」「よく分からない」と身構えがちですが、一度使い方を体験する機会があれば慣れるまでのスピードは非常に早いです。
その入り口として、アイ・エヌ情報センターの方に講師としてワークショップを開いていただけることが大きな後押しになっています。

私が担当している「商学基礎論」の授業では、毎年Finder Proを使った課題を出しています。
SNSなどを通じて感想を書いてくれる学生も多く、「楽しかった」とか「公的統計に興味をもつきっかけになった」といった反応が見られるのが印象的で、「この課題をやめてほしい」といった声はあまり聞こえてきません。

課題の内容は、学生の皆さんにとって身近なテーマを扱うようにしています。
最初は1年分のデータのみを分析する予定だった学生が、データを見ているうちに面白さを感じ、自ら長期時系列での変化や地域ごとの差を調べ直す学生も出てくるほどです。

「失敗してもいい」と伝えたうえで取り組んでもらっていますが、Finder Proでは自分の発想からデータにたどり着けるため、試しながら進めること自体を楽しんでいる学生が多いと感じています。
講義では受け身になりがちな学生でも、Finder Proを使える環境で、主体的にデータと向き合うようになる点は大きな変化です。
こうした経験は、学生の皆さんにとって貴重な学びの機会になっていると感じています。

大学教育と研究を支えるデータリテラシーのこれから

INDB Finder Proは学生がデータに向き合っていくプロセスの中で、どのように使われていますか

東氏:
Finder ProはWebベースで直感的に操作ができ、特別なインストールや設定が必要なく、日常的に利用する環境から自然に使い始めることができました。
そのため、データを扱う経験の第一歩として取り組みやすいツールだと思います。

また、データの探しやすさという点でも、学生の皆さんが触れやすい仕組みになっています。
公的統計に詳しくない学生でも、キーワード検索を使えば、それぞれが「何となくこれを知りたい」と感じている段階からアプローチでき、思いついた言葉から関連するデータにたどり着ける点は大きな強みです。

さらに、データを選択するとまずグラフで全体の傾向が表示されるため、細かい数値を見る前に「どんな動きになっているのか」を直感的に把握できる点も使いやすいと感じています。
最初はキーワード検索から入った学生も、使っていくうちに「これは家計調査のこの表だ」といった形で、統計の構造や位置づけを理解できるようになります。こうしたプロセスを自然に踏める環境は、データリテラシーを育てるうえで大きな意味を持っています。

INDB Finder Proのサポート体制についてはいかがでしょう

東氏:
実際にFinder Proを使ってデータを取得しようとすると、特に最初の段階では、学生が操作につまずく場面があります。
ゼミのような比較的少人数の場であっても、全員が同じペースで理解できるわけではないため、まず使い始めの段階でのフォローが重要です。

その点で、アイ・エヌ情報センターの方に学生向けの操作ワークショップを講義に合わせて年に複数回実施いただいており、初期の理解を支える大きな助けになっています。基本的な操作を最初に共有してもらえることで、学生の皆さんが自分で操作しながらFinder Proに慣れていくための土台を築くことができます。

また、大人数の授業に合わせて、アイ・エヌ情報センターの方と一緒にFinder Proの使い方を解説する動画を制作しています。授業内容や学生の理解度に応じて柔軟に対応していただける点は、非常に心強いと感じています。
商学系の大人数授業では数百人規模の履修者がおり、他学部からの履修生も少なくありません。
そうした環境でも、あらかじめ連携して作成した動画などの形でサポートを用意してもらえることで、学生が途中でつまずいてしまうケースは少なくなりました。

ここまで寄り添ったサポート体制は、なかなか他では見られないと感じています。
教員任せでも、ツール任せでもなく、実際の授業運営に寄り添いながら定常的なサポート体制で並走してもらえる点は、教育現場でFinder Proを継続して活用していくうえで、非常に心強く感じています。

今後の展望と、INDB Finder Proに期待することについてお聞かせください

東氏:
今後については、データそのものの広がりと、それを使う人たちの広がりの両方に期待しています。

統計の精度向上や効率化を目的とした再編の過程で廃止、統合される統計はあるものの、利用者の立場から見ると、従来とは異なる形式や構造でデータを読み解く必要があり、扱い方が変わってきている実感もあります。
こうした変化に加えて、既存の公的統計だけでは粒度がやや粗く感じられる場面も増えてきました。

今後、既存の統計を補完するような新しいタイプのマクロデータが出てくる中で、Finder Proがそうしたデータを横断的につなぎ、活用できる環境になっていくことには大きな可能性を感じています。
新しい時代のマクロデータの一つとして、今後どのような位置づけを担っていくのかは、引き続き注目していきたいテーマです。

利用者同士のつながりについては、大学の世界では研究や分析の工夫を共有しながら、互いに刺激を受けて発展していく文化があります。
Finder Proを通じて、大学でデータの扱い方を学んだ人たちが、学生同士、またその先の社会に出たあとも、ゆるやかにつながり、データに関する情報交換ができるような場が生まれたら、とても面白いのではないかと感じています。

すぐに形にするのは簡単ではないと思いますが、単にツールを提供するだけでなく、知見や経験が集まるハブのような存在になっていくことで、Finder Proの価値はさらに広がっていくのではないでしょうか。

 
※掲載内容は取材当時のものです。

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