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2026.4.6 DL資料経済データTOPIX【2026年3月公表】2月の鉱工業生産指数(季節調整済)は102.3(前月比-2.1%)と3か月ぶりにマイナスへ転落 2026年3月時点の時系列推移データ分析
経済産業省が公表している「鉱工業指数」について、データからわかる動向・特徴についてご紹介します。 また当社が提供する経済統計データベースサービス INDB Accelから取得した過去5年(60カ月)分のデータも掲載しておりますので、あわせてご利用ください。 鉱工業生産指数は102.3(前月比-2.1%)、生産・出荷は前月比マイナスへ転落 経済産業省が、2026年2月の鉱工業指数データを公表しました。 鉱工業生産指数(季節調整済)は、102.3(前月比-2.1%)となり、3か月ぶりのマイナスとなりました。業種別にみると、15業種のうち12業種で前月比がマイナスでした。 出荷指数は100.5(前月比-1.6%)となり、先月の+3.8%から大きくマイナスへ転落する結果となりました。 在庫指数は98.1(前月比+0.3%)となり、前月からわずかに増加しました。 業種別の生産指数は15業種のうち、金属製品工業を含む12業種で前月比が低下 前月比が上昇したのは、鉄鋼・非鉄金属工業、パルプ・紙・紙加工品工業、化学工業(除.無機・有機化学工業・医薬品)の3業種でした。 一方、残る12業種では前月比が低下しました。以下では、動きの大きかった業種を中心にピックアップしました。 金属製品工業:前月比-5.9%と大きく下落 金属製品工業の生産指数は89.9(前月比-5.9%)となり、前月の+6.0%から大きく減少しました。 金属製品工業業種のうち、金属線製品以外の品目(建設用金属製品、建築用金属製品、暖房・調理等装置、粉末冶金製品、缶類、その他の金属製品)で、前月比がマイナスとなりました。特に「缶類」に分類されている産業用アルミニウム製品は前月比-39.4%と大きく低下しました。 石油・石炭製品工業:前月比-4.1%と3か月ぶりのマイナス 石油・石炭製品工業の生産指数は97.8(前月比-4.1%)となり、3カ月ぶりのマイナスとなりました。 石油製品に分類されている品目のうちガソリンが-7.4%、灯油が-3.6%といずれも前月から大きく下落しました。 中東情勢を受けて、今後どのように石油・石炭製品工業の生産指数が変化するのか注目です。 輸送機械工業(除.自動車工業):前月比-6.4%と2か月ぶりの下落 輸送機械工業(除.自動車工業)の生産指数は113.1(前月比-6.4%)と前月から反落する結果となりました。 輸送機械工業(除.自動車工業)に分類されている品目のうち、航空機部品(前月比-3.3%)と船舶・同機関(前月比-3.5%)はいずれも前月比で-3%以上のマイナスとなりました。 鉄鋼・非鉄金属工業:前月比+2.3%と2か月連続でのプラス 鉄鋼・非鉄金属工業の生産指数は102.2(前月比+2.3%)と2か月連続でのプラスとなりました。鉄鋼業、非鉄金属工業ともに前月比でプラスとなり、構成品目別では非鉄金属工業の通信用ケーブル光ファイバ製品が+33.8%、電気銅+8.9%と大幅に増加となりました。 鉱工業指数とは 鉱工業指数(IIP:Industrial Production Index)とは、国内事業所における鉱工業製品の生産状況を測定する重要な経済指標です。経済産業省が毎月公表し、408品目について基準年(現在は2020年)を100として指数化しています。鉄鋼、電気機器、自動車などが主要業種であり、生産、出荷、在庫・在庫率が公表されており、とくに生産指数は日本の景気動向を判断する上で注目される指標です。 当社では、このデータを1978年よりデータベース化し、時系列データとして簡単にご利用いただけるよう提供しております。 (今回紹介したデータの一部は下記よりダウンロードいただけます。) 経済統計データベース「INDB Accel」の導入効果:4つのメリットによるデータ収集・分析業務の効率化 本記事でご紹介した分析は、当社が提供する経済統計データベース『INDB Accel』を活用して作成しました。 INDB Accelを利用することで、データ収集・整形に費やしていた労働集約的な作業時間が大幅に削減され、本来注力すべき分析や仮説検証といった知的創造活動に集中することが可能です。以下では、INDB Accelがもたらす主なメリットをご紹介します。 【INDB Accel利用の主なメリット】 1. 常に最新のデータを手元に:更新作業から解放 一度作成した分析表(Excelシート)は、更新ボタンひと押しで最新データに更新可能です。データ公表サイトへの定期的な訪問、ダウンロード、手動での転記といった手作業による煩雑な作業やそれに伴うヒューマンエラーが発生しません。新しいデータが公開されたかどうかの確認も容易になり、常に最新の状況に基づいた意思決定を支援します。 2. 複数ソースのデータもシームレスに統合 高度なデータ分析には、複数の公表元からのデータ連携が不可欠です。しかし、個別のサイトを訪問し、それぞれ異なる形式のデータを取得・整形する作業は多大な手間と時間を要します。INDB Accelは、多岐にわたる統計データを統一された形式で一括取得できるため、データ統合の労力を劇的に軽減し、より多角的な分析を実現します。 3. 利用条件が明確で安心なデータ運用 公表されている統計データは、出典元ごとに利用条件が異なり、確認に時間と労力がかかるケースが少なくありません。INDB Accelでは、提供する全てのデータに一律で明確な利用条件を設定しており、安心してビジネスにご活用いただけます。コンプライアンス面でも安心なデータ運用をサポートします。 4. 深掘り分析を可能にする豊富な過去データ 多くの公表サイトでは、データ公開期間が直近数年間に限定されていることが一般的です。INDB Accelは、数十年にわたる長期時系列データも豊富に収録しており、これにより、過去のトレンド分析や長期的な影響評価など、より深度のある分析が可能になります。企業の変遷や社会情勢との関連性も詳細に検証できるため、より確かな知見を得られます。 INDB Accelにご興味をお持ちの方へ データ分析業務の効率化と高度化を、『INDB Accel』が強力にサポートいたします。 INDB Accelの詳細な機能や具体的な導入事例、無料トライアルのお申し込みや詳しい資料請求については、お問い合わせフォームより、お気軽にご連絡ください。
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2026.4.3 DL資料発行市場レポート 特集版発行市場レポート【特集版 2026年3月】ファイナンス・経済・企業データ
今回は、「当社各データベース収録期間における過去最高値」に焦点を当てた特集です。主な内容は次のとおりです。 個人向け社債 【金額は2025年度の2.7兆円、国内公募債の比率は2014年度の22.6%】 この「量と比率が異なるトレンドを示す」という点に、現在の市場構造の変化を読み取ることができます。 自己株取得 【金額、社数ともに2025年度、17.9兆円、1,214社】 一社あたりの取得規模の大型化と、取り組む企業数の裾野拡大が同時進行しているという、非常に力強い株主還元の潮流が見えてきます。 原油 【価格は2008年7月の133.96$/バーレル】 リーマンショック直前のコモディティバブルの頂点として、今なお語り継がれる水準です。 揮発油 【店頭でのレギュラー価格の前週差、2008年5月第一週および2026年3月第三週の29.0円/リットル】 異なる時代や背景にて同じ数値となったことは、エネルギー価格の変動が生活者や産業界に与えるインパクトの大きさを改めて実感させます。 添付の発行市場レポートでは、過去のトレンドや他の指標もわかります。
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2026.4.3 DL資料経済主要指標グラフ経済指標グラフ(2026年4月)
当社の経済統計データベースサービスINDB Accelを活用し、主要経済指標の時系列データとグラフを毎月更新・提供しております。直近10年分のデータを、景気や物価・貿易などの動向をひとまとめにご確認いただけます。 【ご提供データ例】 出典 統計名 月次 財務省 貿易統計 内閣府 機械受注統計調査報告 景気動向指数 総務省 労働力調査 消費者物価指数 日本銀行 マネーストック 資源エネルギー庁 石油製品価格調査 四半期 内閣府 国民経済計算 日本銀行 全国企業短期経済観測調査 財務省 法人企業統計(季報)
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2026.3.31 DL資料経済データTOPIX【2026年3月最新】石油備蓄日数は248日 原油輸入の中東依存度は95.1%(石油統計速報5年間推移データ分析)
資源エネルギー庁が公表している「石油備蓄の現況」と「石油統計速報」につき、データからわかる動向・特徴についてご紹介します。 また当社が提供する経済統計データベースサービス INDB Accelから取得した過去5年(60カ月)分のデータも掲載しておりますので、あわせてご利用ください。 2026年1月末時点の石油備蓄日数は248日 資源エネルギー庁が2026年1月末時点の石油備蓄の現況を公表しました。 2026年1月末時点の石油備蓄日数は248日(内訳:国家備蓄146日、民間備蓄96日、産油国共同備蓄6日)で、前月から6日減少しました。2023年2月に記録した224日を底に、少しずつ回復していき、2024年7月から19カ月連続で240日以上の備蓄日数となっています。 また、石油製品の貯蓄量は、合計で7,006万㎘(内訳:国家備蓄4,111万㎘、民間備蓄2,714万㎘、産油国共同備蓄181万㎘)となりました。5年前の2021年1月と比較すると、石油製品全体に占める国家備蓄の割合は60.3%→58.7%と小幅に減少していますが、民間備蓄の割合は36.8%→38.7%と増加していることがわかります。 政府は、中東情勢悪化による原油価格の高騰に対応するため、石油備蓄の放出を決定しました。 本データは、2026年1月末時点のデータのため、今回の石油備蓄放出によるデータ変動は2026年5月公表データにて反映される予定です。 原油輸入の中東依存度は95.1%の高水準|主要輸入国の構成比と直近の変動 資源エネルギー庁が公表している2026年1月の石油統計速報では、原油の総輸入量に対して、中東からの輸入量が95.1%と高い水準です。 石油統計速報から総輸入量と原油輸入上位3か国について、読み取れる内容をまとめました。 輸入総量:前年比-7.9%と減少傾向 輸入総量は12,133,945㎘(前年比-7.9%)となりました。前月の2025年12月は14,731,755㎘と、直近5年で最も高い水準でしたが、2026年1月はそこから17.6%減となりました。また、前年同月の2025年1月(13,173,054㎘)も下回っており、前月比・前年同月比のいずれでも減少となっています。 サウジアラビア:全体輸入量の50%以上を占める結果 サウジアラビアは6,567,960㎘(前年比+21.7%)となりました。前月(6,668,780㎘)に次ぐ過去5年間で2番目に高い数値を記録し、全体輸入量の54.1%を占める結果となり、同国への高い依存状態が継続していることがわかります。 アラブ首長国連邦:前年比-26.0%と大幅に下落も、30%以上の依存 アラブ首長国連邦は4,147,584㎘(前年比-26.0%)となりました。過去最多の2022年9月(5,913,172㎘)と比較して約3割減と下落傾向にありますが、依然として全体の34.2%を占めており、同国への高い依存がうかがえます。 クウェート:前年比-41.3%の大幅減、前月からも半減近く落ち込む クウェートは452,353㎘(前年比-41.3%)となりました。直近の前月である2025年12月(891,425㎘)から約49%減と急激に落ち込んでおり、前年同月(770,431㎘)と比較しても大幅なマイナスを記録しています。2024年以降は1,000,000㎘の大台を割り込む月が常態化しており、減少基調がより鮮明となっています。 輸入総量に対して、サウジアラビアとアラブ首長国連邦の2カ国で全体の約88.3%を占めており、中東の主要2カ国への極めて高い依存状態が継続していることがうかがえる結果となりました。 石油統計速報および石油備蓄の現況|国内供給安定化に向けた重要指標 「石油備蓄の現況」とは、資源エネルギー庁が公表している、国家備蓄・民間備蓄・産油国共同備蓄の3つの備蓄方法における保有量と備蓄日数を示す統計です。国内の石油供給安定性と対外有事対応の備えを可視化する重要なデータです。 「石油統計速報」とは、資源エネルギー庁が原油の輸入国別データや、石油製品生産・在庫及び半製品在庫を調査し、翌月末に公表している統計です。原油輸入明細から中東依存度などの数値が公表されています。 当社では、このデータを1985年よりデータベース化し、時系列データとして簡単にご利用いただけるよう提供しております。 (今回紹介したデータの一部は下記よりダウンロードいただけます。) 経済統計データベース「INDB Accel」の導入効果:4つのメリットによるデータ収集・分析業務の効率化 本記事でご紹介した分析は、当社が提供する経済統計データベース『INDB Accel』を活用して作成しました。 INDB Accelを利用することで、データ収集・整形に費やしていた労働集約的な作業時間が大幅に削減され、本来注力すべき分析や仮説検証といった知的創造活動に集中することが可能です。以下では、INDB Accelがもたらす主なメリットをご紹介します。 【INDB Accel利用の主なメリット】 1. 常に最新のデータを手元に:更新作業から解放 一度作成した分析表(Excelシート)は、更新ボタンひと押しで最新データに更新可能です。データ公表サイトへの定期的な訪問、ダウンロード、手動での転記といった手作業による煩雑な作業やそれに伴うヒューマンエラーが発生しません。新しいデータが公開されたかどうかの確認も容易になり、常に最新の状況に基づいた意思決定を支援します。 2. 複数ソースのデータもシームレスに統合 高度なデータ分析には、複数の公表元からのデータ連携が不可欠です。しかし、個別のサイトを訪問し、それぞれ異なる形式のデータを取得・整形する作業は多大な手間と時間を要します。INDB Accelは、多岐にわたる統計データを統一された形式で一括取得できるため、データ統合の労力を劇的に軽減し、より多角的な分析を実現します。 3. 利用条件が明確で安心なデータ運用 公表されている統計データは、出典元ごとに利用条件が異なり、確認に時間と労力がかかるケースが少なくありません。INDB Accelでは、提供する全てのデータに一律で明確な利用条件を設定しており、安心してビジネスにご活用いただけます。コンプライアンス面でも安心なデータ運用をサポートします。 4. 深掘り分析を可能にする豊富な過去データ 多くの公表サイトでは、データ公開期間が直近数年間に限定されていることが一般的です。INDB Accelは、数十年にわたる長期時系列データも豊富に収録しており、これにより、過去のトレンド分析や長期的な影響評価など、より深度のある分析が可能になります。企業の変遷や社会情勢との関連性も詳細に検証できるため、より確かな知見を得られます。 INDB Accelにご興味をお持ちの方へ データ分析業務の効率化と高度化を、『INDB Accel』が強力にサポートいたします。 INDB Accelの詳細な機能や具体的な導入事例、無料トライアルのお申し込みや詳しい資料請求については、お問い合わせフォームより、お気軽にご連絡ください。
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2026.3.31経済レポート税収弾性値からみた「責任ある積極財政」
選挙結果と「飲食料品消費税ゼロ」公約 政策内容と実施時期の不確実性 この2月の衆議院選挙で自由民主党が大勝し、議席の3分の2を獲得した。今回の選挙は「争点なき減税合戦」とも評されたが、勝者となった自民党は公約である「飲食料品消費税ゼロ%」を2年間の時限措置として実行する方針を掲げている。もっとも、同政策は野党を含めた国民会議で制度設計を議論した上で施行される見通しであり、実施時期や具体的な財源措置は依然として不透明である。 積極財政が招く市場リスク 国債・金利・円安への影響 こうした状況の下、金融市場では日本の財政悪化に対する懸念がくすぶる。減税政策が財政規律の後退と受け止められれば、国債需給の悪化観測を通じて長期金利に上昇圧力がかかる可能性がある。その影響は為替市場にも波及し、円安への警戒感を強めることになる。財政拡張と日銀の大規模緩和が併存する現在の政策枠組みのもとでは、国債発行増加が中央銀行のバランスシート(B/S)拡張につながりやすく、通貨供給の増加という経路を通じて円安圧力が強まる構造にあるのだ。 財政コストと効果の検証 消費押し上げ効果と試算(約10兆円の財源規模) 飲食料品の年間消費金額は61.4兆円(2024年、内閣府)である。現在の軽減税率8%を前提とすれば、当該分野の消費税収は約4.9兆円、概算で約5兆円となる。したがって、2年間実施した場合の必要財源は約10兆円規模に達する。一方、われわれの最小二乗法を使っての試算では、本措置による消費押し上げ効果は約0.33%にとどまる。家計の実質所得を一定程度下支えする効果は見込まれるものの、財政コストに比して成長押し上げ効果は限定的と評価せざるを得ない。 出典:内閣府「国民経済計算」 ※データはINDB Accelより取得 財源の現実性と短期対応 「埋蔵金」活用の可否と補正予算の未執行資金 政権は、飲食料品消費税ゼロ%の財源について「税外収入等から充当する」としている。この発言を踏まえれば、補正予算の使い残しや各種基金残高、いわゆる「埋蔵金」からの拠出が視野に入っている可能性が高い。我々の試算では、新型コロナ禍の補正予算での未執行資金は40兆円規模に及ぶ(内閣府「国民経済計算(ストック編)」より)。ただし、補正予算の編成過程において多額の使い残しが発生する構造や、基金の増設・積み増しの妥当性は別途検証されるべき論点である。それでも、一定規模の積極財政を数年間継続する前提に立てば、既存資金の活用を通じて直ちに財政規律を大きく毀損せずに運営する余地は存在する。 出典:財務省「租税及び印紙収入、収入額調」 ※データはINDB Accelより取得 税収弾性値が示す構造的課題 なぜ経済成長が税収増加に結びつかないのか しかし、「飲食料品消費税ゼロ%」のような大衆迎合的な政策を継続して、日本の財政、さらには通貨への信認を維持できるのであろうか。肝要なのは、先行する歳出増加や減税による歳入減少を、その後の経済成長による税収増加で取り返すことができるかどうかである。回収できなければ財政赤字の膨張が続き、国債増発が常態化する。現行の金融政策の枠組みが維持されれば、中央銀行のB/Sはさらに拡張し、通貨供給の増加を通じて通貨価値の下押し圧力が強まる。食料品やエネルギーなど生活必需品を輸入に依存する日本では、円安は生活費の不可逆的な上昇を招く可能性がある。 この財政の「回収力」を測る指標が税収弾性値である。税収弾性値とは、名目GDPの変動率に対する税収の変動率を示す指標であり、経済成長がどの程度税収増加に結びつくか、すなわち租税を通じた自律的な財政健全化メカニズムの強さを表す。過去30年、20年、10年、5年の各期間で計測すると(図表)、全体の税収弾性値は過去30年平均の2.85から直近5年平均では1.34へと低下している。 その主因は所得税と消費税の弾性値低下である。所得税については、非正規雇用の拡大や若年層の賃金上昇とシニア層の賃金伸び悩みが併存する中で、年功序列型の賃金カーブが平準化している。これにより、累進課税制度による税収の加速効果が働きにくくなっている。消費税については、高齢化に伴う限界消費性向の低下に加え、医療費や医薬品といった非課税支出のウエイト上昇、さらには軽減税率の導入という制度変更が弾性値を押し下げている。 一方、税収弾性値が相対的に低下していない項目は法人税である。約10年前に提示されたコーポレートガバナンス・コード以降、企業価値向上に対する投資家の圧力が強まり、事業再編や資本効率改善が進展した。結果として企業収益力が改善し、法人税収は景気拡大局面で伸びやすい構造となっている。ただし、国税収入の多くを所得税と消費税が担う現状では、全体としての税収弾性値は構造的に低下していると言わざるを得ない。 出典:財務省「租税及び印紙収入、収入額調」を用いて佐治氏作成 ※データはINDB Accelより取得 法人税の高い弾性値をいかに活用するか 成長誘発型施策による税収回帰メカニズム さらに、税収増加をインフレに依存する構造となれば、歳出も物価上昇に連動して増加するため、財政均衡化は容易ではない。重要なのは、実質的な成長を通じて税収基盤を拡大することである。 税収弾性値の観点からみた一つの示唆は、法人税収の弾性値の高さをどう活用するかである。政府の施策が単なる消費者向け給付にとどまらず、企業活動の活性化や事業再編を促すものであれば、税収回帰力は高まり得る。1978年の特定産業構造改善臨時措置法や1983年の産業構造転換円滑化臨時措置法は、石油危機後の産業構造調整を後押しし、電子・半導体関連、情報通信機器、産業用ロボットなどの分野への展開を促した。鉄鋼や重電、化学、造船といった基幹産業も高付加価値分野へと業容転換を進めた。 現在においても、防衛・宇宙など先端分野への戦略的支出が企業投資を直接誘発する形で設計されれば、高い法人税弾性値を通じて税収増加が期待できる。日本の政策における成功例は、「ばらまき型」よりも「誘発型」に多かったとの指摘もある。 「責任ある積極財政」とは、歳出規模そのものではなく、将来の税収回帰メカニズムを内包しているかどうかで評価されるべきであろう。市場が問うているのは、減税の是非ではなく、その後の成長と財政持続性の設計なのである。 佐治 信行(さじ のぶゆき) Nobuyuki Saji SBI証券 経済企業調査部管掌執行役員 チーフストラテジスト・上席エコノミスト 専門分野は国内外マクロ経済(実物経済、金利・為替)。日経ヴェリタスアナリストランキング エコノミスト部門ではのべ16年にわたり第1位を獲得。 Institutional Investor 誌では17年連続。 1982年関西学院大学法学部政治学科卒業。同年、日興證券(株) (現、SMBC日興証券)入社。(株)日興リサーチセンターへ出向、証券調査部、事業調査部、経済調査部、投資戦略部。その後、1999年興銀証券(株)(現みずほ証券)、 2006年に三菱UFJ証券(株)(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、2018年5月ニッセイアセットマネジメント、2024年9月株式会社SBI証券に入社。 Nobuyuki Saji, Chief Strategist and Economist Mr. Saji specializes in domestic and international macroeconomics (the real economy, interest rates, and foreign exchange rates). He has ranked No. 1 in the Economist category in the Nikkei Veritas analyst ranking for 16 years in total and has also been ranked in the Institutional Investor survey for 17 years in a row. Mr. Saji graduated from the Department of Political Science, School of Law and Politics, Kwansei Gakuin University in 1982, and joined Nikko Securities (currently SMBC Nikko Securities) in the same year. He was transferred to Nikko Research Center, where he worked in the Securities Research Department, Business Research Department, Economic Research Department, and Investment Strategy Department. Mr. Saji then joined IBJ Securities (currently Mizuho Securities) in 1999, Mitsubishi UFJ Securities (currently MUMSS) in 2006, and Nissay Asset Management in May 2018. He joined SBI SECURITIES in September 2024. ※このコラムで引用した経済データは、「経済統計データベース」INDB Accelで最新値の確認・時系列分析が可能です。 ▶ 無料トライアル(2週間)のお申し込み
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2026.3.30 DL資料発行市場レポート 月次版発行市場レポート【月次版 2026年3月】
ファイナンス・データベースINDB Funding Eyeを用いて作成した「発行市場レポート」の最新号を公開しました。 本レポートは、国内発行市場における資金調達動向を毎月集計・分析しているもので、資金調達状況や主幹事ランキング、第三者割当の動向、自己株式の推移やランキングなどについてまとめています。 金融機関、機関投資家、事業会社のファイナンス担当者など、発行市場の最新動向を把握したい方に幅広くご活用いただけるレポートです。 以下にそのエッセンスをご紹介します。 資金調達状況...全体 資金調達は、前年同期比1兆203億円増(91.7%増)、前月比8,967億円増(72.6%減)の2兆1,327億円。 デット・エクイティ比率は、デット54%、エクイティ46%。 新発10年国債利回りは、前月末より0.13%減少し、2.11%。 資金調達状況...普通社債 普通社債の発行額は、前年同期比174億円減(1.8%減)、前月比872億円減(8.5%減)の9,323億円。 2月の発行体ランキング1位の野村ホールディングスは、劣後特約付社債の発行。 資金調達状況...サムライ債 サムライ債の発行額は、前年同期比1,816億円増(7.1倍)、前月比966億円増(1.8倍)の2,116億円。 資金調達状況...エクイティ エクイティの発行額は、前年同期比8,398億円増(7.8倍)、前月比8,620億円増(9.5倍)の9,635億円。 2月の発行体ランキング1位の日本製鉄は、6,000億円の海外CB発行。 また、上位5社のうち、3社は海外CBの発行。(日本製鉄、北海道電力、美津濃) 資金調達状況...新規公開 IPOの発行額は、前年同期比163億円増(2.8倍)の253億円。 第三者割当 募集総額は、前年同期比645億円減(44.6%減)、前月比578億円増(3.6倍)の802億円。 銘柄数は、普通株式24件、新株予約権13件、 CB1件の計38件。 自己株式...枠設定・取得実施 自己株式取得枠設定額は、前年同期比4,481億円減(21.5%減)、前月比9,226億円増(2.3倍)の1兆6,353億円。 自己株式取得実施総額は、前年同期比201億円増(1.0倍)、前月比6,117億円増(1.5倍)の1兆7,442億円。 自己株式取得枠設定額発行体ランキングでは、フジ・メディア・ホールディングスが2,350億円の枠設定を公表し、1位。 自己株式取得実施総額発行体ランキングでも、フジ・メディア・ホールディングスが2,398億円の取得実施を公表し、1位。 自己株式...処分・消却 自己株式処分公表企業数は、前年同期比36社増(1.5倍)、前月比52社増(2.0倍)の106社。 自己株式消却公表企業数は、前年同期比22社減(22.7%減)、前月比44社増(2.4倍)の75社。
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2026.3.19 DL資料ファイナンスデータコロナ前・コロナ禍・コロナ後のファイナンス活用状況【2026年2月集計版】
コロナ前後のファイナンス実施状況を俯瞰するため、ファイナンス・データベースINDB Funding Eyeを用いて、2017年~2025年のデット発行額・エクイティ募集額・CBの株式転換額を集計し、合計金額が多い順に10位までの金額をグラフ化しました。 折れ線グラフは9年間の合計金額、積み上げ棒グラフは個別企業の各年における金額です。 以下に、これらからわかる情報を簡単にご紹介します。データもダウンロードいただけます。 ※INDB Funding Eyeは、資本政策の意思決定を支える債券や株式、自己株式、ABS、M&A等を提供する高機能データベースであり投資銀行部門を始め、ファイナンス関連部門やコンサルティング部門の業務でもご活用いただけます。 デット発行額: 1位<ソフトバンクグループ>は10兆円超え 1位の<ソフトバンクグループ>が9年間のうち8年間にわたり発行し10兆円超えで、2位の<武田薬品工業>の2倍以上の資金を調達しました。特に、2025年の<ソフトバンクグループ>は2兆円超えです。 過去、デット調達の常連であった電力会社は3社が参入し、5位に<関西電力>、8位に<九州電力>、9位に<東北電力>となっています。 エクイティ募集額: 1位<日本ペイントホールディングス>は1兆円超え 1位の<日本ペイントホールディングス>が1兆円超えで、2位の<東芝>の2倍近くを募集しました。 エクイティとデット、両方に参入した会社は3社あり、<楽天グループ>は4位(デットは4位)に、<関西電力>は7位(デットは5位)に、<武田薬品工業>は9位(デットは2位)となりました。 CBの株式転換額: 1位<日本製鉄>は約3,000億円 1位の<日本製鉄>が約3,000億円で、2位の<スズキ>の約1.5倍の額を株式転換しました。上位4社は1,000億円以上となりました。 上位10社の転換額の合計は、コロナ前が最も多く4,369億円、コロナ禍が1,971億円、コロナ後が3,676億円となっています。 クライテリア 上場会社、但し金融機関及び公団が民営化し発足した会社を除く。 日付:いずれも暦年で、デットが発行年、エクイティが効力発生年、CB転換が転換年。 期間:コロナ前 2017年~2019年、コロナ禍 2020年~2022年、コロナ後 2023年~2025年。 対象ディール:デットが国内公募SB・国内私募債・海外SB、エクイティが国内CB・海外CB・公募・第三者割当、CB転換が国内CB・海外CB。 データのご案内 当社のファイナンス・データベースでは、デット・ファイナンス及びエクイティ・ファイナンスのデータを長年にわたり収録しています。デットの発行体は事業会社だけでなく日本国、政府機関、地方自治体なども網羅しています。 企業の資本政策分析、ファイナンス戦略の立案に必要な包括的なデータをご提供いたします。 詳細は、『ファイナンスデータベース紹介ページ』をご覧ください。 ご興味ございましたら、こちらの『問合せページ』より。お気軽にお問合せください。
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2026.3.19 DL資料経済データTOPIX【2026年3月最新】訪日外国人客数 2月は346万7千人で2月としては過去最高を記録も、中国からの訪日客は-45.2%と大きく減少(5年間推移データ)
【最新データのお知らせ】 ※2026年4月23日 追記 本記事は2026年3月時点のデータについて解説しています。 2026年4月に公開された最新のデータについては、以下の記事をご覧ください。 ▶︎ 【2026年4月最新】訪日外国人客数推移データ 3月単月として過去最高を記録、総数・国別データを解説 日本政府観光局が3月に公表した「訪日外客数」につき、データからわかる動向・特徴について紹介します。 また当社が提供する経済統計データベースサービスINDB Accelから取得した過去5年(60カ月)分のデータも掲載しておりますので、あわせてご利用ください。 2026年2月の訪日外国人客数は346万7千人、前年比では+6.4%と増加に転じる 日本政府観光局(JNTO)が2026年2月の訪日外国人客数データを公表しました。 2026年2月の訪日外国人客数 は346万7千人となり、前年同月比でも6.4%増加し、2月として過去最高を記録しました。 2026年1月は前年比-4.9%と、2022年1月以来のマイナスでしたが、2ヶ月ぶりのプラスに転じる結果となりました。 春節でも中国からの訪日客は激減するも、多くの地域では増加傾向が継続 2026年2月データで、訪日外国人客数の国別データから4ヵ国をピックアップしました。 中国:春節時期でも前年比-45.2%と、3ヶ月連続で40%以上の下落 2026年2月の中国からの訪日外国人客数は39.6万人(前年比-45.2%)と大きく減少する結果となりました。春節(旧正月)で毎年中国から多くの訪日客が増える時期ではあるものの、3ヶ月連続(12月:-45.3%→1月:-60.7%→2月:-45.2%)で前年比が大きくマイナスとなり、日中関係冷え込みの影響が長引いています。近年の訪日客数増加を牽引してきた中国からの訪日客数の今後に注目です。 韓国:2ヶ月連続で100万人を超え、2月として過去最高を記録 2026年2月の韓国からの訪日外国人客数は108.6万人(前年同月比+28.2%)と2月として過去最高を記録しました。これで2026年に入り、2ヶ月連続で100万人を超え、日本人気が高まっていることがわかります。 台湾:前年比+36.7%と大きく伸長 2026年2月の台湾からの訪日外国人客数は69.3万人(前年比+36.7%)で、2ヶ月連続で69万人を超える結果となりました。コロナ以降右肩上がりに増加しており、2025年1-2月と比較しても、プラス26.1%と増加していることがわかります。 アメリカ:2月では初めての20万人超えで、堅調な伸びが継続 2026年2月のアメリカからの訪日外国人客数は22.0万人(前年比+14.7%)となりました。2月では初めて20万人を超え、前年比では50カ月連続でプラス10%以上の伸びが継続する結果となりました。 訪日外客数・出国日本人数とは 訪日外客数:日本を訪れた外国人旅行者の数で、法務省の出入国管理統計から日本政府観光局(JNTO)が独自に算出し、毎月発表しています。外国人正規入国者から永住者等を除いた入国外国人旅行者を指します。 出国日本人数:海外に渡航した日本人の数で、同様に毎月併せて発表されます。 当社では、このデータを1964年よりデータベース化し、時系列データとして簡単にご利用いただけるよう提供しております。 (今回紹介したデータの一部は以下よりダウンロードいただけます。) データ分析を加速させる:経済統計データベース INDB Accelの活用メリット 本記事でご紹介した分析は、当社が提供する経済統計データベース『INDB Accel』を活用して作成しました。 INDB Accelを利用することで、データ収集・整形に費やしていた労働集約的な作業時間が大幅に削減され、本来注力すべき分析や仮説検証といった知的創造活動に集中することが可能です。以下では、INDB Accelがもたらす主なメリットをご紹介します。 【INDB Accel利用の主なメリット】 常に最新のデータを手元に:更新作業から解放 一度作成した分析表(Excelシート)は、更新ボタンひと押しで最新データに更新可能です。データ公表サイトへの定期的な訪問、ダウンロード、手動での転記といった手作業による煩雑な作業やそれに伴うヒューマンエラーが発生しません。新しいデータが公開されたかどうかの確認も容易になり、常に最新の状況に基づいた意思決定を支援します。 複数ソースのデータもシームレスに統合 高度なデータ分析には、複数の公表元からのデータ連携が不可欠です。しかし、個別のサイトを訪問し、それぞれ異なる形式のデータを取得・整形する作業は多大な手間と時間を要します。INDB Accelは、多岐にわたる統計データを統一された形式で一括取得できるため、データ統合の労力を劇的に軽減し、より多角的な分析を実現します。 利用条件が明確で安心なデータ運用 公表されている統計データは、出典元ごとに利用条件が異なり、確認に時間と労力がかかるケースが少なくありません。INDB Accelでは、提供する全てのデータに一律で明確な利用条件を設定しており、安心してビジネスにご活用いただけます。コンプライアンス面でも安心なデータ運用をサポートします。 深掘り分析を可能にする豊富な過去データ 多くの公表サイトでは、データ公開期間が直近数年間に限定されていることが一般的です。INDB Accelは、数十年にわたる長期時系列データも豊富に収録しており、これにより、過去のトレンド分析や長期的な影響評価など、より深度のある分析が可能になります。企業の変遷や社会情勢との関連性も詳細に検証できるため、より確かな知見を得られます。 INDB Accelにご興味をお持ちの方へ INDB Accelの詳細な機能や具体的な導入事例、無料トライアルのお申し込みや詳しい資料請求については、お問い合わせフォームより、お気軽にご連絡ください。
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2026.3.19 DL資料企業ランキング【2026年3月】当期純利益5年間増減額ランキング 食料品業編|約7割が増加を達成、有価証券報告書から読み解く「稼ぐ力」の真実
当社が保有する企業情報データベースeolより、食料品業における上場企業(連結財務諸表ベース)の当期純利益を算出し、ランキング表としてまとめました。 ※ データについて 本記事で使用しているデータは当社独自の基準で算出しており、各企業が決算資料等で開示している値と異なる場合があります。 ※ 算出について 本記事の対象は上場している食料品企業のうち、2020年と2025年の連結当期純利益が取得できた企業のみで算出しております。 食料品業界の利益動向|5年間で約7割の企業が利益増、数値の裏付けを読み解く統合分析の重要性 食料品業を対象に分析したところ、2020年から2025年にかけての5年間で、約7割にあたる企業が当期純利益を増加させていたことが判明しました。 この5年間は、パンデミックによる需要の急蒸発と急回復、地政学リスクに起因する記録的な原材料価格の高騰、そして歴史的な円安の進行など、極めて厳しい外部環境にありました。こうした激動の環境下において、食料品業界の企業のうち約7割が増益を達成したという事実は、各社が備えている適応力を示しています。 しかし、損益計算書に刻まれた最終利益の数値は、あくまで「結果」の把握にすぎません。個々の企業が具体的にどのような施策でこの荒波を乗り越えたのか、その実態を分析するためには、有価証券報告書の定性情報から数値の裏付けとなる企業活動を確認することが有効です。今回は、数値が示す成長がどのような経営戦略(価格転嫁、事業構造の再編、生産性の向上など)によって支えられたのかを分析します。 増減額ランキング上位3社の動向と利益占有の現状|分析で見える「変革の実行力」 今回の集計では、5年間の増減額上位10社で合計3,510億7,300万円に達しており、業界全体の増減額が上位企業に集中している実態が分かりました。 この偏りは単なる規模の差だけではなく、激変する環境下で各社が推進した「戦略の実効性」の差であると考えられます。ここでは、業界を牽引した上位3社の分析結果を紹介します。 【第1位】コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス 5年間の増減額:652億6,100万円 2020年当期純利益:△579億5,200万円 2025年当期純利益:73億900万円 5年前の500億円を超える巨額赤字から、全社一丸となった抜本的な構造改革を経て増減額首位となりました。有価証券報告書の分析からは、不採算事業の整理や物流網の抜本的な最適化、そして原材料高に対して価格改定を機動的に実施する営業体制を確立したことが収益改善に寄与した実態が読み取れます。さらに、ヘルスケア事業の譲渡など、コア事業へのリソース集中を徹底した経営判断が、V字回復という具体的な数値に反映されています。 【第2位】味の素 5年間の増減額:514億3,500万円 2020年当期純利益:188億3,700万円 2025年当期純利益:702億7,200万円 独自の「アミノサイエンス」を基軸に事業構造を再定義したことが成長の要因となりました。食品事業で培った知見を、半導体パッケージ基材(ABF等)に使われる電子材料事業へ展開したことで利益率を向上させています。低利益事業からの撤退と高価値領域へのシフトを加速させる「ASV経営」という戦略が、原材料リスクの影響を抑制する多角化収益基盤として、現在の実績に反映されているものと考えられます。 【第3位】アサヒグループホールディングス 5年間の増減額:498億7,300万円 2020年当期純利益:1,422億700万円 2025年当期純利益:1,920億8,000万円 経営方針を「量」から「プレミアム化(Value経営)」へ完全に転向させ、ブランド力を背景とした価格改定をグローバルで実施しています。有価証券報告書に示された戦略と、コスト増を上回る利益を創出している実績に整合性が見て取れます。世界基準の収益モデルを確立したことが、過去最高水準の利益更新という一つの裏付けとして現れています。 数値の背後に潜む、逆境を成長へ変えるための生存戦略 5年間の増減額上位3社以外の企業でも、独自の施策を実行した結果、利益を大きく伸ばしている事例が数多く見られます。ここでは、それらの中から特筆すべき戦略を持つ企業を抽出し、その分析内容の一部を公開します。 各社の具体的な「取り組み」が、5年間の推移においてどのような「収益結果」として反映されたのかを分析することで、企業の戦略的施策が後の数値にどう現れるかを知る重要な補足情報となります。 【第4位】東洋水産 5年間の増減額:394億8,800万円 2020年当期純利益:233億7,900万円 2025年当期純利益:628億6,700万円 有価証券報告書からは、北米市場の需要増を見越したカリフォルニア工場の拡張やメキシコ工場の新設など、積極的な成長投資を継続的に実施してきた取り組みが読み取れます。この「需要に即応する供給体制の整備」という先行投資が、原材料価格の高騰下においても、5年間での大幅な増収増益という確かな結果に繋がっています。 【第14位】寿スピリッツ 5年間の増減額:80億2,200万円 2020年当期純利益:41億円 2025年当期純利益:121億2,200万円 観光需要消失という逆境下において、同社がいち早く「通信販売の強化」と「ブランド価値の向上」に取り組んできたことが有価証券報告書の記載内容から分かります。この施策がECチャネルの急成長を支える土台となり、その後の人流回復局面では、インバウンド売上高100億円突破という収益貢献を導き出す要因となりました。過去の施策が、現在の業績回復という収益結果を示唆しています。 【第20位】ニチレイ 5年間の増減額:51億2,200万円 2020年当期純利益:196億900万円 2025年当期純利益:247億3,100万円 製造と自前の「低温物流(コールドチェーン)」の垂直統合、および物流DXへの先行投資を継続してきた取り組みが、深刻な物流コスト高騰という逆風を相殺する結果を生みました。「運ぶ力」を自社で磨き続けてきた戦略が、インフレ下での安定した増益維持という定量データへ反映されています。 物価高時代を生き抜く「分析視点」の磨き方|有価証券報告書を意思決定の武器にする 昨今の物価高は一過性の現象ではなく、「新常態(ニューノーマル)」となりました。こうした時代において、単年度の数値や目先のランキングのみで判断することには注意が必要です。有価証券報告書の「軌跡」という客観的な定性情報に基づき、数値の裏側にある経営の意図や事業構造の強みを深掘りする習慣こそが、次なる意思決定を支える有効な手段となります。 投資家の視点に立てば、利益増という結果の裏にある「価格支配力」を、有価証券報告書の記述から確認することが肝要です。インフレ下でも付加価値を価格に乗せ、その理由を論理的に語れる企業は、将来の成長投資や株主還元への余力も十分であり、長期的な投資価値を持っています。 また、ビジネスパーソンや就職・転職活動者にとっても、企業の「生存能力」を特定するためのモノサシとして、定量・定性の統合分析は有効です。5年スパンで利益を積み上げている事実は、その企業が人的資本や賃金上昇への投資余力を持っていることを意味します。 有価証券報告書を精読し、逆境をどのように利益へと転換させたかのプロセスを確認することは、不透明な時代において自身のキャリアを築く場を特定するための一助となるでしょう。データから表面的な数字以上のメッセージを読み解く力が、自身の投資やキャリアを守る第一歩となります。 企業情報データベースeolで実現する効率的な企業分析 本記事の分析に使用した食料品業界 当期純利益5年推移ランキングの一部を下記よりダウンロードいただけます。このデータには、「各社の2020年から2025年における当期純利益増減額TOP30社」が含まれており、企業分析や業界動向の把握にお役立ていただけます。 当社が提供する企業情報データベースeolでは、財務諸表の数値データを取得するだけではなく、提出された複数企業の開示書類から業績に関する記載内容を一覧で確認できるほか、「事業再編」「生産性向上」といった、任意のキーワードで検索し、該当箇所を瞬時に表示できる検索機能などを用意しています。企業の戦略を適切に分析するには、定性情報からの分析も不可欠と考えられます。 本記事以外のデータが必要な場合や、ご興味がございましたら、お問い合わせフォームより、お気軽にお問い合わせください。 ※ 投資判断に関する注意事項 本記事は、企業情報データベースeolに収録されているデータに基づく情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券等の取引を推奨し、または勧誘するものではありません。投資判断は、必ずご自身の責任において行っていただくようお願いいたします。また、本記事に記載されている情報は、その正確性、完全性を保証するものではなく、投資の結果について当社は一切の責任を負いません。